【小倉記念】和田竜、16年クランモンタナは約30発のステッキで脱水症状に 参戦20回目の今年はワンダフルタウンで挑む

公開日:2023年8月9日 14:00 更新日:2023年8月9日 14:04

小倉記念最多Vは武豊の4勝。最多騎乗は幸の22回

 2023年、夏の小倉オープニングを飾るのは小倉記念。1965年に創設され、今年は第59回。小倉重賞の中では最も古いレースとなる。

 グレード制が導入された84年からGⅢでの施行となり、数々の夏馬たちが勝ち上がった。唯一、連覇を達成したのが04、05年のメイショウカイドウ。他に、小倉大賞典、北九州記念(当時は芝千八)を制し、小倉3冠を達成した。他にも、バラ一族のロサードが01、03年でマルチ勝利を挙げている。また、メイショウナルトやサンレイジャスパーが前記2頭と同じ、4度も出走する常連でもあった。

 騎手に目を向けると、4度も制しているジョッキーがいる。カイドウの主戦でもあった武豊。13年メイショウナルト、18年トリオンフでも勝ち、19回の騎乗でレジェンドらしい成績を残す。また、最多騎乗は幸で22回。鹿児島出身で小倉はいわば、お膝元。毎年のように幸スマイルが小倉にあるから〝夏の帰省〟に近い印象すらある。今年はスカーフェイスで23回目の小倉記念初勝利を目指す。

 その幸に続いて騎乗回数が多いのは和田竜で19回。初騎乗は98年のテイエムトップダン(⑫着)で所属の岩元厩舎の管理馬だった。

 延べ9回目の参戦となった10年から、16年までで一気に馬券に絡んでいる。10年バトルバニヤン(②着)、11年リクエストソング(③着)で一年置いて、14年サトノノブレスで勝利し、翌年はウインプリメーラで③着。16年は11番人気のクランモンタナで再度勝利して穴馬券を演出した。同時に一番人気を一度も騎乗していないところも和田竜らしさがある。

クランモンタナで勝った16年は「追い過ぎて脱水症状になった」(和田竜)

 横の《写真》はクランモンタナで勝利した16年のレース直後のもの。

 レースを振り返るとこうだ。当時のクランモンタナは「能力があるけど、ズブい。気を抜いたら終わりだと思って乗った」と和田竜は振り返ったように、鞍上には超がつくハードなレースとなっている。

 テンから促し、2角ではすでに肩ムチを入れている。後半は距離が進むごとにその叱咤激励が増し、追って、追ってではすまない30発弱ものステッキが入っている。結果、ベルーフの追撃を首差凌いで見事に重賞ウイナーへと導いたから〝鞍上が勝たせた〟レースでもあった。

 歓喜の直後、検量室前で脱鞍した瞬間がこの一枚なのである。

 仕事を仕切った表情の和田竜と対照的に、憤怒の目つきで襲い掛からんとする雰囲気のクランモンタナ。追う側、しごき倒された側の温度差を表すような印象的な構図の写真となった。

「追い過ぎて、実はあの直後、脱水症状になったんですよ。フラフラでした。それまで、体調管理には無頓着だったけど、その一戦から、梅干しなど、塩分やミネラルを摂取するようになった」と和田竜は転機になったと話した。

「吉田照哉さん(社台ファーム代表)には〝よく勝ってくれた〟と言われます。ディープインパクトにエアトゥーレの血統馬でしたからね。それもあり、モンタナも引退後は大事にされてきた。騎手冥利に尽きる1勝かな」とこうも続けた。

 今年、和田竜は20回目の小倉記念を迎える。ワンダフルタウンとのコンビだ。前走の鳴尾記念記念は0秒2差④着とゴール前で迫って復調の気配をみせている。

「前走時は中間の調教でそこまでに思えなかった中であれだけ走れ、〝らしさ〟をみせてくれた。跳びが大きく、開幕週の小倉がどうかにはなりますが、ワンダフルタウンらしい走りを見せられたら」

 今年も暑い小倉でびっしりと追ってくる和田竜の姿を見ることができそうだ。

最新記事一覧

  • アクセスランキング
  • 週間