データ室・武田記者のラップと馬場差を徹底分析する

手が届かない130万馬券ではなかった…

公開日:2025年9月30日 14:00 更新日:2025年10月3日 10:53

 今年のスプリンターズS(写真)は絶対に“前”だと思っていた。

 なにせ、ウインカーネリアンぐらいしか行く馬がいない組み合わせ。この馬の逃げなら前半3F32秒台はまずなく、33秒台に。今の馬場状態から1分6秒台の勝ち時計を予測できれば、上がりも33秒台。後ろが届かないことは十分に考えられるからである。

 そして実際に前半3F通過は33秒7だった。上がりは33秒2の速さで逃げた馬と2番手が入れ替わっただけの“行った行った”だ。ここまでの考えはだいたい合っていたが……。

 出した答え、つまり◎はルガル。ウインカーネリアンくらいの位置での競馬を想定していたが、サトノレーヴより後ろではどうにもならない。

 ただ、本紙では先週木曜発行で過去3年の勝ち馬の共通点として、「3角3番手以内の大型馬」と記している。

 サトノレーヴは538キロで数字的にはクリアしているが、位置取りがおそらく該当しないと予測し、勝ち馬候補は実際に前2年の勝ち馬であるママコチャ(レースでは5番手から⑥着同着)、ルガル(進みが悪く、9番手から⑫着)と、ハナ候補のウインカーネリアンの3頭と。個人的にはウインは前走のキーンランドCで本命だった。もう一度、◎にしていれば届いた130万馬券。相当に悔しい一戦だ。

 レースを支配したのは武豊ジューンブレア。前半3F33秒7は千二GⅠとしてはかなり遅いが、函館スプリントS、CBC賞でハナに行ったインビンシブルパパが米国遠征を控えて回避。テイエムスパーダもいないし、今年のスプリント重賞で逃げたのはウインカーネリアンと、シルクロードSでは逃げていたピューロマジックだけ。そのピューロが脚質転換したのもこうなった要素かも。

 また、今年は雨が少なく、ここまで芝は3日目の5Rが稍重だったのを除き、すべて良馬場。全体的に時計も速いとあって、残り400メートルから200メートルでは「10秒6」という、およそ中山の千二ではお目にかからない数字に。展開、馬場がいろいろと複雑に絡み合った大波乱だったように思う。

 他のレースで見どころありは、まず土曜5R2歳新馬、芝千六を制したギリーズボール。1分35秒8の勝ち時計はスローが要因で、ラスト2F11秒8―10秒8を突き抜けた脚は凄い。

 土曜8R3歳上1勝クラス、ダート千二は1分11秒1で同日の2勝クラスを0秒3上回った。

 勝ったショウナンハクウンは前半3F33秒3で逃げた馬から3Fで0秒7後ろ。速い流れの位置にいたわけではないが、ラスト1F12秒5はなかなか。このクラスに2年半も在籍したが、意外と2勝クラスでもやれそうに思う。

武田昌已

月~金は麻雀、土日はウインズだった学生生活を経て、入社後は編集一筋25年超。2015年春は何と9週連続重賞的中の快記録も達成し、2016年は春東京でGⅠ4連勝も。馬場の傾向、ラップの分析に定評がある。毎週、目黒貴子さんとその週の重賞解説の動画も公開中。

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