亀井記者の血統ロックオン

小回り小倉6Fから直線の長い中京7Fに舞台が替わっても血統傾向に変わりが見られなかった中京2歳S

公開日:2025年9月2日 07:00 更新日:2025年9月2日 07:26

 先々週の新潟2歳Sに続き、先週は中京で中京2歳Sが行われた。昨年までは小倉2歳Sとして施行されていたが、今年から中京7F戦に舞台を替えて行われることとなった。これまでの小倉6F芝ではロードカナロア、ミッキーアイル、ダイワメジャーなどスピードタイプの種牡馬が活躍してが、大箱の7Fでどんな傾向になるかに注目していた。

 結論から言えば1分19秒4のレコード決着になったこともあり、小倉時代と変わらずスピード勝負に強い血が活躍した。

 勝ったキャンディードはトーセンラー産駒。父はディープインパクト直子でマイルCSの勝ち馬。二千二百の京都記念も勝っているが、産駒は6Fで最多の21勝。昨年のCBC賞をドロップオブライトが制しているように産駒は意外とスピード勝負に強い傾向だ。

 キャンディードは母ストロボフラッシュが千二~千四のダートで3勝。母の父がスペイツタウンで、祖母の父コジーン。母系にはストームキャット、インリアリティの血も入っており、スピード寄りの血を多く集めた配合。キャンディード自身がミスプロの4×4のクロスを持っていた。

 ②着スターアニスはドレフォン×ダイワメジャー。母エピセアロームは11年の小倉2歳S勝ち馬だ。母はマイルでの勝ち鞍もあるが、どちらかといえば短距離寄り。ドレフォン産駒は母系の特徴を引き出しやすいので、やはりこの馬もスピード勝負には強いタイプといっていいだろう。

 ③着マイケルバローズはロードカナロア×ダイワメジャー。こちらは3代母アルーリングアクト、祖母アルーリングボイスが小倉2歳Sの勝ち馬。全兄イルクオーレも6F~7Fで3勝を挙げている。

 ちなみに⑤着のパープルガーネット(父モーリス)も母の父ダイワメジャーで、母の父ダイワメジャーは出走した3頭が全て掲示板に載っており、結局、小倉時代と同じ、ダイワメジャー、カナロアのラインは信頼性が高そう。

 前記のように今年は時計の出やすい馬場だったことはあるものの、ひとまず来年以降も短距離向きの馬(特に前身である小倉2歳Sにゆかりのある血)を狙っていくのがいいのではないだろうか。

新潟記念はシランケドがVでデクラレーションオブウォー産駒は今年の古馬重賞4勝目

 日曜新潟の新潟記念は今年から別定戦になり例年以上にメンバーが集まった。

 近年の新潟記念はキンカメ系が強い傾向。今年はロードカナロア産駒でGⅠ馬のブレイディヴェーグに◎を打ったが⑥着。最終週で内が荒れて直線は馬場の外をついた馬が伸びていただけに、1枠1番で最後まで外に出せなかった分伸び切れなかったか。

 キンカメ系ではドゥラメンテ産駒のエネルジコが②着。デビューから3連勝中ではじめて土がついたが、3歳馬で初の古馬相手。別定戦で56㌔だったことを思えば上々の内容だった。今回は青葉賞から距離短縮だったが、母エノラが独オークス勝ち馬で、祖母の父はニジンスキー直子で二千七百㍍のGⅠロワイヤルオーク賞を勝ったニニスキ。スタミナ豊富な母系だから距離は延びた方がいい配合だ。このレースも別定戦替わりでもキンカメ系狙いは来年以降も継続してよさそうだ。

 勝ったのはシランケド。「デクラレーションオブウォー産駒で成長力のあるタイプが本格化した」と中山牝馬Sを勝ったあとのこのコラムでも書いたのだが、正直〝ここまで強くなっているとは〟の印象。

 ちなみにでデクラレーションオブウォー産駒は今年に入って府中牝馬S=セキトバイースト(4歳)、札幌記念=トップナイフ(5歳)が制しており、シランケドの2勝を含め重賞4勝。古馬になってからパワーアップには目を見張るものがある。シランケドは秋GⅠでも面白い存在となってきそうだが、個人的には牝馬限定のエリザベス女王杯より、天皇賞・秋での走りをみたい。というのもデクラレーションオブウォー産駒は千八、二千では勝ち鞍目立つが、それ以上となると二千二百、二千四百ともに1勝ずつ。距離延長にやや不安がある点は覚えておきたい。

 先週で8月が終了。夏競馬もほぼ終わり(札幌があと1週あるが)なので、ここまでの2歳戦をざっくりと振り返りたい。

 2歳種牡馬リーディングトップはエピファネイア。ここまで最多の10勝を挙げている。この10勝のうち9勝が新馬戦。しかも勝率・310、③着内率・655のハイアベレージだから、エピファ産駒の新馬戦は買いでいい。

 2位はキズナで3位には新種牡馬のコントレイルが入っている。勝ち鞍で言えば4位のモーリスは7勝でコントレイルは5勝なのだが、コントレイル産駒は②着8回、③着4回と馬券に絡むケースが多い。着実に賞金を加算して上位にランクしてきた。産駒がコンスタントに走るのはそれだけ種牡馬としてポテンシャルが高いということ。今後クラスが上がっても変わらず走れるかが種牡馬として成功するかの分かれ目になってくるだろう。

 ダート戦に限ればとトップは4勝を挙げる2年目のルヴァンスレーヴなのだが、勝率・182、③着内率・227と率自体はあまり高くない。それなら同じ2年目で4勝の2位フォーウィールドライブを狙いたい。ここまで勝率・500、③着内率・625とかなり率がいい。実績は6F以下が中心と条件は限られるものの、短距離ダートに産駒がいれば狙ってみたい種牡馬だ。

亀井辰之介

 競馬好きの父親の影響もあり、子供のころから競馬中継を一緒に観戦。最初は父親が馬券を当てるともらえる臨時の小遣いが目当てだったが(ただし、父は穴党だったため、あまり的中した記憶はない……)、ある日、シンボリルドルフといういかにも強そうな名前の馬が、強く勝つ姿に魅入られたのが競馬ファンになったはじまり。
 その後はテレビゲームの競馬ソフトにどっぷりハマり、今までに遊んできた競馬ゲームは数知れず。その時に競走馬の配合の奥深さを知り、血統に興味を持ったのが今の予想スタイルの根幹か。現在でもたまにゲームをたしなみ、好きだった競走馬の産駒を活躍させることが小さな喜び。
 予想スタイルはもちろん“血統”。各馬の血統を分析。得手、不得手を見極め得意条件に出走する時に狙い撃ち! 好配当を目指します。

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