今年3月、長く騎手として活躍してきた「ミスターピンク」こと内田利雄さんが騎手を引退しました。さすらいのジョッキーとしてさまざまな競馬場で騎乗し、地方競馬の騎手としての可能性とチャンスを広げる、非常に大きな役割を果たしてくれました。そして今はこれからのスターを育てる地方競馬教養センターで、これまで培った経験を活かして活動しています。
私の記憶では内田さんと知り合った当時はまだ宇都宮競馬が開催されており、宇都宮所属でブライアンズロマンやベラミロードで中央に挑戦してきていた時のこと。検量室前でそのレースぶりなどを内田さんにインタビューなどしていました。常にウェルカムな表情で真面目に、時々ユーモアを交えながら楽しくお話してくれたのが印象的でした。
先日、騎手を引退した森泰斗さんのプライベートなおつかれさま会があり、私も少しの時間だけ参加させてもらったのですが、その森泰斗さんのすぐ隣に座っていたのが内田利雄騎手(当時)。その時はその先に引退するなどとは全く知らず、遠くから手を振って挨拶しさせていただいただけでした。が、その時には「あ! 内田さんにもいつか登場してもらおう」なんて図々しいことを企んでいたのです。
その後、3月で騎手を引退。4月からは地方競馬教養センターで騎手を目指す若者たちを相手に指導しています。今回、あらためて那須まで車を走らせ、取材させていただきました。
「ええ、そうですね。参与というみたいです(笑)。僕もよくわからないんですけど(笑)」。そんなふうににこやかに少々照れながら現在のご自身の立場を答えてくれた内田さん。
「マイスターともいうみたいです。〝自分の星ですか?〟って思わず聞いたんですけど、違うみたいです(笑)」。やばい、最初から面白い。
「63歳、ピチピチの新人教官です。慣れないサラリーマン生活です」とすぐに採用したくなる言葉もいただき、快く取材に応じてくれました。
「はい。日々裏方として訓練を見ています」。え? 裏方なんですか?
(続きは6月4日に更新)
競馬キャスター
テレビ東京の「土曜競馬中継」などでリポーターを務め、競馬サークルに幅広い人脈をもつ。YouTubeの「日刊ゲンダイ競馬予想」で武田、大谷記者とともに出演。また、毎週水曜には「目黒貴子のアツアツ交遊録」を連載中。