亀井記者の血統ロックオン

GⅠ2勝目アスコリピチェーノの妹はPOGでも注目の4億円ホース

公開日:2025年5月20日 07:00 更新日:2025年5月20日 07:00

 ヴィクトリアマイルは1番人気のアスコリピチェーノが勝利。ここまで連対を外したのはオーストラリアの1戦のみ。ここでは実績上位の存在だったが、その力を存分に発揮した。

 血統面で注目すべきは母系にダンチヒ系とサドラーズウェルズ系の血が入っている点。同じダイワメジャー産駒で母系にサドラーズとダンヒチを持つ馬ではメジャーエンブレム(母の父がサドラーズウェルズ系で、曾祖母の父がダンチヒ系)、レシステンシア(母の父ダンチヒ系、祖母の父がサドラーズウェルズ系)がおり、メジャー産駒の成功パターンのひとつ。母系でスタミナを補完する配合からか、東京のマイルと特に相性のいい配合なのだ。今回は良馬場発表だったが、レース後のルメールのコメントから察するに雨の影響もありやや馬場が緩く力のいる状態だったよう。それをこなせたのもこの欧州由来の血によるところも大きかったのではないか。

 血統面でいえば同馬の妹で今年デビューするキタサンブラック産駒も楽しみな存在。昨年のセレクトセールで4億4000万円の高値で落札された期待馬だ。さらにその下にはコントレイルの牝馬、イクイノックスの牡馬もスタンバイしている。ここまで5勝を挙げたピチェーノを筆頭に、その兄姉もデビューした3頭はすべて勝ち上がりと非常の質の高い牝系。姉が2歳GⅠを制しているように、早い時期から動ける血筋でもあり、今年のPOGで注目の馬と言っていいだろう。

 ②着は中距離路線からマイルに参戦してきたクイーンズウォーク。ただ、金鯱賞時のこのコラムでも書いた通り、父がキズナでストームキャット持ち。母系は母の父がミスプロ系で祖母の父がデピュティミニスター系、さらに曾祖母の父がボールドルーラー系と米国スピード型を重ねた配合。クイーンズの半兄グレナディアガーズが朝日杯FS勝ち馬とマイルGⅠを勝っていることもあり、個人的にはずっとマイラーだと思っていただけに、ここでの好走は納得。この2頭はともに8枠の馬。東京芝は徐々に外差し傾向になってきており、来週もこの傾向が続くのかはチェックしておきたい。

 ③着シランケドは3連勝のあとGⅠでも好走。機動力に富むフェアトライアルの血脈を多く持っており、中山牝馬Sの内容を見ても小回り向きのタイプだと思っていただけに、東京のマイル戦でメンバー最速の上がりを使ってきたのにはさすがに驚いた。晩成型だった父デクラレーションオブウォー影響か、5歳の今は本当に充実している。次戦もコースに関わらず積極的に買いたい1頭だ。

 このシランケドと①着アスコリピチェーノには7F戦での勝ち実績があり、②着クイーズウォークが母系にデピュティミニスター系を持つスピード配合。今回の千㍍通過56秒8はソフトな馬場状態を思えばかなりのハイペースで、同じく激流だった1週前のNHKマイルC(①着が7F勝ち馬で、②③着は母系にデピュティミニスター内包馬)とほぼ同じ結果に。

 このペースで泣いたのが3番人気で⑧着のステレンボッシュ。エピファネイア産駒で、母ブルークランズはルーラーシップ×ダンインザダークと芝の中距離型で構成されている。桜花賞の勝ち馬ではあるが、距離はあった方がいい配合。まして、今回は1枠で内の荒れた馬場を走らされたことも伸びを欠いた要因だろう。前走の大阪杯も⑬着とここ2戦は結果が出ていないが、大阪杯も阪神内回りで展開不向き。ともに力は出し切れていない印象だけに、直線の長い中距離戦なら見直したい。

 と、まあペースが流れて7F実績馬やスピード配合の馬が来るというのは、予想通りだったのが……。自身の予想は◎ボンドガール、○アスコリピチェーノ、▲クイーズウォークで◎の選択を誤ったのは反省しかない。

 ボンドガールは道中は頭を上げてかかり通し。直線も伸びない内のコース取りになり力を出し切れなった。ただ、ダイワメジャー産駒で母系はスピード型。今回のペースでもかかるような面を見せたから、現状がもう少し距離が短くてもいいのかも――。

 ちなみに、ボンドガールの弟で今年デビューのエピファネイア産駒も24年のセレクトセールで4億2900万円の高値で落札されている。母コーステッドは米2歳GⅠ、BCジュベナイルフィリーズターフで②着と仕上がり早の血でもあり、こちらも今年のPOGで注目したい馬だ。

 土曜の新潟大賞典はシリウスコルトが逃げ切り。父はマクフィでドバウィ系の欧州型。このレースは③着にダート実績馬のハピが入線したように、稍重でもかなり力のいる馬場だったよう。ちなみにマクフィ産駒は土曜新潟6Rの千直競馬でラブカマクフィーが7番人気で②着と好走したのだが、同産駒はオールアットワンス、アサギリと千直競馬で2勝馬を2頭出しており、意外とこの条件は走るのでちょっと覚えておいてもいい。



亀井辰之介

 競馬好きの父親の影響もあり、子供のころから競馬中継を一緒に観戦。最初は父親が馬券を当てるともらえる臨時の小遣いが目当てだったが(ただし、父は穴党だったため、あまり的中した記憶はない……)、ある日、シンボリルドルフといういかにも強そうな名前の馬が、強く勝つ姿に魅入られたのが競馬ファンになったはじまり。
 その後はテレビゲームの競馬ソフトにどっぷりハマり、今までに遊んできた競馬ゲームは数知れず。その時に競走馬の配合の奥深さを知り、血統に興味を持ったのが今の予想スタイルの根幹か。現在でもたまにゲームをたしなみ、好きだった競走馬の産駒を活躍させることが小さな喜び。
 予想スタイルはもちろん“血統”。各馬の血統を分析。得手、不得手を見極め得意条件に出走する時に狙い撃ち! 好配当を目指します。

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