日本に輸入された凱旋門賞馬ソットサスがトニービン級の活躍ができると思われる理由

公開日:2025年3月20日 12:00 更新日:2025年3月20日 15:15

 少し前の話だが、今月7日、今シーズンから日本での供用が発表されていた凱旋門賞馬ソットサスが、輸入検疫を終えて、北海道新ひだか町静内の日本軽種馬協会静内種馬場に到着した。

 競馬の最高峰を極めた馬が、種牡馬として日本で供用されるケースは決して珍しくない。ただ、成功したといえる例は非常に少ないのもまた事実だ。

 GⅠ馬を出したのは88年の勝ち馬トニービン、04年のバゴくらい。トニービンは初年度産駒からベガ、ノースフライト、ウイニングチケットが大活躍。他にオフサイドトラップ、エアグルーヴ、ジャングルポケットなどを輩出した。特に東京では異常なほど強かったのが特徴だ。

 バゴも初年度産駒から菊花賞馬ビッグウィークが出た。また、秋華賞、宝塚記念2回、有馬記念を制したクロノジェネシスもバゴの産駒だ。

 その一方、95年の勝ち馬ラムタラは鳴り物入りで輸入されたが、平地重賞勝ち馬が02年富士Sのメイショウラムセス一頭のみ。10年のワークフォースも21年ステイヤーズS=ディバインフォース一頭のみにとどまっている。

 日本の馬が何頭参戦しても手が届かないように、凱旋門賞はいわば異種格闘技。求められる適性が違うのだから、凱旋門賞馬が日本で活躍する産駒を出せないのも、ある種、納得できる部分はあるのではないか。

 だからなのか、この間、トレヴやファウンド、エネイブルなど牝馬が勝っていることもあるが、凱旋門賞の種牡馬導入はワークフォースが最後だった。

 だが、20年の勝ち馬ソットサスはそれらの歴史をくつがえす可能性あり。トニービン級の活躍をする可能性を秘めている。

 凱旋門賞の勝ち時計は2分39秒30。こんなに遅いのは76年のイヴァンジカ(2分39秒4)以来になるが、これだけで欧州の重い競馬のイメージを持つのは早計だ。

 というのも、この前年にソットサスは仏ダービー(シャンティイ競馬場)を制しているが、これがレコードV。二千百㍍2分02秒90で勝っているからだ。

 この記録は23年にエースインパクトが2分02秒63で更新したものの、ソットサスの数字を二千㍍に換算すると1分55秒14に。あのイクイノックスが23年の天皇賞・秋で記録した1分55秒2という驚異的なレコードに匹敵する数字なのだ。
 
 この高いスピード適性が産駒につながり、日本の馬場にマッチすれば……。

 ちなみに、現在、ソットサスの産駒は外国産馬として4頭の3歳馬がJRAで登録されており、3頭がデビュー。母ヌーヴォレコルトのセナスタイルが1月の中京で新馬勝ち。2戦目はまだだが、次走が注目される。

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