ヴィクトリアマイルは1番人気のエンブロイダリーが②着に1馬身1/4差をつける完勝。昨年の牝馬2冠馬が、ハイレベルな4歳世代の頂点として力の違いを見せつけた。
逃げ候補だったアイサンサンがスタートで出遅れたこともあり、前半の3F34秒6とペースは上がらず。エンブロイダリーは好位の5番手からレースを進め、直線で馬場の真ん中へスムーズに進路を取るとグングン加速。残り200㍍過ぎで先頭に立つとルメールの「後ろから来る馬の気配は感じなかった」のコメント通り、危なげのない内容だった。
勝ち時計の1分30秒9は過去10年で3番目の好タイム。前半の緩いペースを考えればかなり優秀な時計だ。ちなみに、日曜の東京7R(3歳1勝クラス)でトミーバローズが1分31秒6と、先週のNHKマイルCより0秒1遅いだけの時計をマークしており、今の東京の高速馬場を象徴している。
エンブロイダリーは土曜発行の予想コラムでも触れたように、ストームバードやフレンチデピュティといった米国スピード血統に加え、欧州型サドラーズウェルズのスタミナを内包。高速マイルへの対応力と、東京の長い直線を最後までしのぎ切る持続力を兼備した、まさに今の東京マイル向きの配合だった。
誤算があったとすれば予想以上にペースが落ち着き、レースの上がり3Fは33秒6と過去10年でも2番目に速い時計となったこと。負けるなら純粋な瞬発力勝負になった時に切れ負けするパターンだと思っていただけに、自身は33秒0を使って抜け出したことは想像以上の強さだった。
思えば、サンデーサイレンスの3×4のクロスを内包しており、これが決め手につながったか。今年の2戦はともに490㌔台と昨年より馬体を増やしており、確実にパワーアップを遂げている。今の充実ぶりなら牡馬相手でも楽しみがある。
②着は昨年のオークス馬カムニャック。結果的にここでも4歳世代の強さが際立つ形となった。エンブロイダリーと血統構成を比較すると、サドラーズウェルズはあるものの、ストームバード、デピュティミニスターの血は持っていない。母の父サクラバクシンオーがマイルへの対応力を補ってはいるものの、3代母はダンスパートナーと中距離志向が強い。
実際、エンブロイダリーとは過去4度対戦で先着したのはオークスのみ。エンブロイダリーが中距離もこなすマイラーなのに対して、カムニャックはマイルもこなす中距離馬。前走の阪神牝馬Sから逆転できなかったのは、本質的な適距離の差が出た印象だ。
スローでサンデーサイレンスのクロス有無もポイントに
ちなみに、カムニャックもサンデーの2×4のクロス内包馬。今回の出走メンバーでサンデーのクロスを持っていた5頭のうち2頭によるワン・ツー決着となった(残りはニシノティアモ=⑤着、ジョスラン=⑦着、ケリフレッドアスク=⑭着)。直線が長く、決め手の求められる舞台ではやはりサンデーのクロスが大きな武器となる。
昨年②着クイーンズウォークは③着。キズナ産駒でストームキャットとで母系にデピュティミニスターを持つ配合。ミスプロやボールドルーラーなどの血も内包しておりスピード勝負には強いのだが、上位2頭が持っていたサドラーズウェルズの血とサンデーのクロスがない分、最後に差が出たか。
評価したいのは④着エリカエクスプレス。父エピファネイア×母の父ガリレオで、サドラーズウェルズの4×3のクロスを持つ配合。ここまでマイルで2勝を挙げているとはいえ、本質的には中距離寄りの血統だ。単騎逃げの形になり展開的に恵まれた面があったにせよ、東京の高速マイルではスピード的に厳しいかと思っていただけに、③着と鼻差に粘ったことは上々。晩成傾向のある血統だけに、古馬になり力をつけてきている印象を受けた。
新潟大賞典もスローでサンデークロスを持つ軽ハンデ馬が激走
土曜に新潟で行われた新潟大賞典は前半3F35秒9、千㍍通過1分0秒4のスローペース。東京と比べて荒れ気味のタフな馬場とはいえ、新潟外回り特有の長い直線でトップスピードを維持する瞬発力が求められた。
勝ったグランディアは4角8番手から上がり33秒7での差し切り。ハービンジャー産駒でスパッと切れるタイプではない分、今の時計のかかる新潟が味方した。母は重賞3勝のディアデラノビアで、兄姉にはディアデラマドレ、ドレッドノータスと2頭の重賞勝ち馬がおり、同馬がきょうだい3頭目の重賞ウイナーとなった。兄ドレッドノータスは6歳で重賞勝ちを挙げたが、同馬も6歳の昨年12月から②③③①着とここにきて充実期を迎えた印象がある。
12番人気のバレエマスターがメンバー最速となる上がり33秒4の脚を使って②着。今回を含め近5走のうち4走で上がり3F最速をマークしている。サンデーサイレンスの3×4のクロスがありそれが末脚の鋭さにつながっているのだろう。今回はハンデ戦で斤量が前走から2㌔減の55㌔だったことも、切れを増した要因だったか。
ちなみに③着フクノブルーレイクも53㌔の軽量でサンデーの3×5のクロスを内包。直線の長いコースでのハンデ戦は〝軽ハンデ+サンデークロス〟の人気薄の激走には今後も警戒しておきたい。





























