亀井記者の血統ロックオン

高速東京マイルにマッチしたエンブロイダリーの血統構成

公開日:2026年5月19日 07:00 更新日:2026年5月19日 07:00

 ヴィクトリアマイルは1番人気のエンブロイダリーが②着に1馬身1/4差をつける完勝。昨年の牝馬2冠馬が、ハイレベルな4歳世代の頂点として力の違いを見せつけた。

 逃げ候補だったアイサンサンがスタートで出遅れたこともあり、前半の3F34秒6とペースは上がらず。エンブロイダリーは好位の5番手からレースを進め、直線で馬場の真ん中へスムーズに進路を取るとグングン加速。残り200㍍過ぎで先頭に立つとルメールの「後ろから来る馬の気配は感じなかった」のコメント通り、危なげのない内容だった。

 勝ち時計の1分30秒9は過去10年で3番目の好タイム。前半の緩いペースを考えればかなり優秀な時計だ。ちなみに、日曜の東京7R(3歳1勝クラス)でトミーバローズが1分31秒6と、先週のNHKマイルCより0秒1遅いだけの時計をマークしており、今の東京の高速馬場を象徴している。

 エンブロイダリーは土曜発行の予想コラムでも触れたように、ストームバードやフレンチデピュティといった米国スピード血統に加え、欧州型サドラーズウェルズのスタミナを内包。高速マイルへの対応力と、東京の長い直線を最後までしのぎ切る持続力を兼備した、まさに今の東京マイル向きの配合だった。

 誤算があったとすれば予想以上にペースが落ち着き、レースの上がり3Fは33秒6と過去10年でも2番目に速い時計となったこと。負けるなら純粋な瞬発力勝負になった時に切れ負けするパターンだと思っていただけに、自身は33秒0を使って抜け出したことは想像以上の強さだった。

 思えば、サンデーサイレンスの3×4のクロスを内包しており、これが決め手につながったか。今年の2戦はともに490㌔台と昨年より馬体を増やしており、確実にパワーアップを遂げている。今の充実ぶりなら牡馬相手でも楽しみがある。

 ②着は昨年のオークス馬カムニャック。結果的にここでも4歳世代の強さが際立つ形となった。エンブロイダリーと血統構成を比較すると、サドラーズウェルズはあるものの、ストームバード、デピュティミニスターの血は持っていない。母の父サクラバクシンオーがマイルへの対応力を補ってはいるものの、3代母はダンスパートナーと中距離志向が強い。

 実際、エンブロイダリーとは過去4度対戦で先着したのはオークスのみ。エンブロイダリーが中距離もこなすマイラーなのに対して、カムニャックはマイルもこなす中距離馬。前走の阪神牝馬Sから逆転できなかったのは、本質的な適距離の差が出た印象だ。

スローでサンデーサイレンスのクロス有無もポイントに

 ちなみに、カムニャックもサンデーの2×4のクロス内包馬。今回の出走メンバーでサンデーのクロスを持っていた5頭のうち2頭によるワン・ツー決着となった(残りはニシノティアモ=⑤着、ジョスラン=⑦着、ケリフレッドアスク=⑭着)。直線が長く、決め手の求められる舞台ではやはりサンデーのクロスが大きな武器となる。

 昨年②着クイーンズウォークは③着。キズナ産駒でストームキャットとで母系にデピュティミニスターを持つ配合。ミスプロやボールドルーラーなどの血も内包しておりスピード勝負には強いのだが、上位2頭が持っていたサドラーズウェルズの血とサンデーのクロスがない分、最後に差が出たか。

 評価したいのは④着エリカエクスプレス。父エピファネイア×母の父ガリレオで、サドラーズウェルズの4×3のクロスを持つ配合。ここまでマイルで2勝を挙げているとはいえ、本質的には中距離寄りの血統だ。単騎逃げの形になり展開的に恵まれた面があったにせよ、東京の高速マイルではスピード的に厳しいかと思っていただけに、③着と鼻差に粘ったことは上々。晩成傾向のある血統だけに、古馬になり力をつけてきている印象を受けた。

新潟大賞典もスローでサンデークロスを持つ軽ハンデ馬が激走

 土曜に新潟で行われた新潟大賞典は前半3F35秒9、千㍍通過1分0秒4のスローペース。東京と比べて荒れ気味のタフな馬場とはいえ、新潟外回り特有の長い直線でトップスピードを維持する瞬発力が求められた。

 勝ったグランディアは4角8番手から上がり33秒7での差し切り。ハービンジャー産駒でスパッと切れるタイプではない分、今の時計のかかる新潟が味方した。母は重賞3勝のディアデラノビアで、兄姉にはディアデラマドレ、ドレッドノータスと2頭の重賞勝ち馬がおり、同馬がきょうだい3頭目の重賞ウイナーとなった。兄ドレッドノータスは6歳で重賞勝ちを挙げたが、同馬も6歳の昨年12月から②③③①着とここにきて充実期を迎えた印象がある。

 12番人気のバレエマスターがメンバー最速となる上がり33秒4の脚を使って②着。今回を含め近5走のうち4走で上がり3F最速をマークしている。サンデーサイレンスの3×4のクロスがありそれが末脚の鋭さにつながっているのだろう。今回はハンデ戦で斤量が前走から2㌔減の55㌔だったことも、切れを増した要因だったか。

 ちなみに③着フクノブルーレイクも53㌔の軽量でサンデーの3×5のクロスを内包。直線の長いコースでのハンデ戦は〝軽ハンデ+サンデークロス〟の人気薄の激走には今後も警戒しておきたい。

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亀井辰之介

 競馬好きの父親の影響もあり、子供のころから競馬中継を一緒に観戦。最初は父親が馬券を当てるともらえる臨時の小遣いが目当てだったが(ただし、父は穴党だったため、あまり的中した記憶はない……)、ある日、シンボリルドルフといういかにも強そうな名前の馬が、強く勝つ姿に魅入られたのが競馬ファンになったはじまり。
 その後はテレビゲームの競馬ソフトにどっぷりハマり、今までに遊んできた競馬ゲームは数知れず。その時に競走馬の配合の奥深さを知り、血統に興味を持ったのが今の予想スタイルの根幹か。現在でもたまにゲームをたしなみ、好きだった競走馬の産駒を活躍させることが小さな喜び。
 予想スタイルはもちろん“血統”。各馬の血統を分析。得手、不得手を見極め得意条件に出走する時に狙い撃ち! 好配当を目指します。

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