【中山記念】まさに〝テンよし〟〝中よし〟〝しまいよし〟シックスペンスこの先の敵は自分自身
公開日:2025年3月3日 14:00 更新日:2025年3月3日 14:00
GⅠ制覇をグッと手繰り寄せる快走劇だった。
4歳馬シックスペンスがGⅡ中山記念を勝利。それも、勝ち時計が千八1分44秒8で、21年前のサクラプレジデントが持つレコードを塗り替えるオマケ付きである。
この日は完璧な立ち回りだった。最内枠から好発を決め、逃げ馬が縦長で引っ張る息の入らない展開を7番手で追走。勝負どころからは前との距離を馬なりで詰めると、直線は難なく進路を確保して、上がり3F33秒9の末脚で差し切った。
②着エコロヴァルツとは鼻差でも着差以上に余裕がある走り。開幕週で馬場のいい内側をロスなく走れた恩恵はあるものの、レースの後半5Fが57秒8だから、推定で56秒台後半だろう。かなり長くいい脚を使い、なおかつ追ってからの反応も鋭く、ラスト1Fも推定11秒3でまとめた。まさに“テンよし、中よし、しまいよし”で非の打ちどころがない。
これで6戦5勝、GⅡは3勝目となり、次なるターゲットはビッグタイトルだろう。
重賞勝ちはすべて千八と非根幹距離だが、1F延びれば大阪杯。逆に短縮となれば安田記念あたりが春のターゲットとなる。
しかも、今回は立ち上げ時にはツメの不安があり、調整が遅れて、ウッドでの追い切りは1本だけと万全の仕上がりではなかった。昨秋のマイルCSを1週前に回避して、5カ月ぶりの実戦で馬体重が10キロ増。体つきに余裕があり、そして緩さも残っている状態でもこのパフォーマンスだ。
この先は体質的な部分がポイントだろう。歩様も硬めで、コンスタントに続けて使える強さをまだ兼ね備えていないだけに、体調や状態など自分自身との闘いにもなってくる。
ともあれ、本格化したらどこまで強くなるのか――。そんな期待を抱かずにはいられない馬なのは間違いない。定年まであと1年を切った名伯楽・国枝師がどう成長させ、導いていくのか。その手腕も含めて楽しみである。