【フェブラリーS】 人気でも人気薄でも勝ってきた重賞90勝 〝持っている〟音無師がラストGⅠで放つ三本の矢

公開日:2025年2月19日 14:00 更新日:2025年2月21日 10:59

重賞での単勝回収率100%超えは、3、4、7、11、12、13番人気馬

 30年の調教師人生で最後のGⅠレースを迎える。

 フェブラリーSにサンデーファンデー、サンライズジパング、デルマソトガケを送り込む音無秀孝師だ。

 関係者は皆、師を〝持っている〟と話す。騎手時代にオークス史上最高単勝(6270円)となったノアノハコブネの勝利や、調教師となり開業初勝利が、GⅢ北九州記念のイナズマタカオー(当時は芝千八で鞍上は河内調教師)。転厩初戦で勝たせたことも強運をイメージづけるのかもしれない。

 音無師のJRA重賞勝ちは90を数える。1043頭も出走させ、その90勝目が記憶にも新しいプロキオンS。定年間際にサンデーファンデー、サンライズジパングと重賞でワン・ツーで決め、また、5番人気のサンデーが1番人気のサンライズに先着。配当妙味ありも演出したから、やはり何かを〝持っている〟気がする。

 重賞レースを振り返ると、1番人気で29勝、オウケンブルースリ(08年菊花賞)、カンパニー(09年マイルCS)、ミッキーアイル(14年NHKマイルC)らでGⅠを制して、②着16回で連対率・517は凄い数字だ。

 その人気別では、8番人気馬(62頭出走)だけ不思議と重賞を勝っていないが、1~7番人気、9~13番人気と幅広く勝利を挙げている。ちなみに、単勝馬券としてファンに貢献したのは3、4、7、11、12、13番人気の馬たち。単勝での回収率はいずれも100%を超えている。重賞トータルでみても回収率は単勝が84%、複勝で80%もあるから〝妙味あり〟の厩舎なのだ。音無師が切磋琢磨したと話す橋口弘次郎元調教師を例に挙げると、重賞96勝で単勝回収率は61%。やはり抜けている。

 回収率の高さからも分かるが〝人気を下げての一発型〟は多い。前記した厩舎初重賞のイナズマタカオーは、その5走後の中京記念で何と10番人気と人気を落として再度重賞を勝っている。98年のユーセイトップランも5走後のアルゼンチン共和国杯を12番人気で制し、その1年3カ月後のダイヤモンドSを8戦連対なしからV。7番人気と妙味をつけた。

 07年の皐月賞馬ヴィクトリーは、前走が若葉S勝ちにも関わらず7番人気で、18年の宝塚記念の覇者ミッキーロケットは天皇賞・春で0秒2差。春グランプリは7番人気だった。2位入線の繰り上がりからGⅠ馬となったモズスーパーフレア(20年高松宮記念)も同じ。前年のスプリンターズSで②着連対し、前哨戦で少差④着だったが春GⅠでは9番人気。妙味をつけて激走している。

サンデーファンデー、サンライズジパング、デルマソトガケいずれも戦略、プランあり

 人気でも人気薄でも勝ってきたのが音無厩舎の馬たちだ。フェブラリーSの3頭も同じ。

「最後だからね。何頭出しても。GⅠでメンバーも強いから皆、それぞれに自分の力を出し切ってくれたら。着順にはこだわらなくて、3頭が無事であってくれたら」

 音無師はこう総括したが、個々の話は面白い。

 サンデーファンデーは「80点くらいはあげられる追い切り。今の状態で行ってくれたら。もまれない競馬ができれば、それがいい。マイルになることはマイナスではない。ま、枠順が出て鮫島君(鮫島駿騎手)と相談したいですね。この馬の力を出せるように持って行くだけ」と話した。

 サンライズジパングは「直前までサウジアラビアの三千㍍(レッドシーターフハンデキャップ)を考えていたけど、オーナーと〝ダートで行こう〟と決断した。(中距離戦は)1、2角があるから行きっぷりが悪いのかも。ワンターンの千六は合っていい。今回も期待していますよ」と力が入った。

 そして、ブリーダーズCクラシック②着があるデルマソトガケも「気合をつける目的で併せたけど、中1週だから最後は馬なりでいいと。それで遅れた形ですが、あれでいいんです。どこかで歯車が狂ったけど、ワンターンで変わることがあっても」。

 こう話すから、明確なプランあっての3頭チャレンジだ。同時に、人気落として〝配当妙味あり〟の3頭ともなる。過去に再三再四穴をあけてきたパターンだ。信じれば、今回も好配当が待っている。

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