【スプリンターズS】ルガルが完勝で〝半年遅れ〟の戴冠

公開日:2024年9月30日 14:00 更新日:2024年9月30日 14:00

高松宮記念1番人気が骨折明けで盲点に

 秋のGⅠシリーズは波乱から始まった。

 スプリンターズSを制したのは9番人気のルガル。②③着は5番人気トウシンマカオ、4番人気ナムラクレアで、3連単は30万円近い配当だ。

 今回のルガルは完全に人気の盲点だった。

 近年、GⅠにブッツケで挑むのは決して珍しくはない。だが、ルガルは高松宮記念で⑩着に敗れて、レース後には骨折が判明。杉山晴師が「レース後の歩様が悪かった」として検査したところ、左橈側手根骨骨折、左第3手根骨骨折が判明している。当時、JRAの発表では「今後6カ月以上の休養を要する見込み」となっていた。今回、高松宮記念からは半年ほど。きっちりと間に合わせた関係者の努力が実を結んだといえる。

 もちろん、実力も確かなものがあった。

 重賞勝ちこそ今年1月のシルクロードSのみだが、57・5キロのハンデで3馬身差の圧勝。この勝ちっぷりで、高松宮記念では1番人気に支持されたほどだ。「半年遅れの戴冠」と言ったところか。

 今回もまさに強い競馬だった。ゲートをポンと飛び出したピューロマジックのラップは2F目がなんと9秒9。長いスプリンターズSの歴史の中でも、初めて9秒台の激流が記録された。

 さすがに速すぎたピューロマジックは千二では珍しい離し逃げの形となったが、ルガルは3番手から。レースの3F通過は32秒1で、ルガルは32秒8。この位置でも相当に速い、いや速すぎるはずだが、残り100メートルあたりで先頭に立ち、そのまま押し切り勝ち。文句なしの勝利である。

 これからは迎え撃つ立場として、どこまで“政権”を維持できるか。今年のメンバーでルガルと同じ4歳世代は他にオオバンブルマイ、モズメイメイの計3頭だけ。5歳が8頭と完全に4歳は劣勢だったが、今回の勝利はスプリント界の世代交代を印象づけるものでもあった。

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