能登半島地震はトレセン関係者にも──。帰省中に被災した小林調教師

公開日:2024年1月3日 14:05 更新日:2024年1月3日 14:22

調教師不在で2日のトレセンがスタート

 令和6年は大変な年明けとなった。石川県能登地方を震源地とした震度7の「令和6年能登半島地震」だ。2日がたつ今も揺れが続き、被害状況の大きさも鮮明となってきた。

 平和なはずの元日を襲った地震は、約270㌔と離れた滋賀県・栗東トレセンでも震度3~4の揺れを観測した。

 当時、厩舎で当直にあたっていたスタッフは「大きな揺れでさすがに馬も驚きましたが、大事には至りませんでした」と話す。

 その中、現地で被災したのが小林真也調教師だった。JRAのプロフィール欄にもあるように出身地は富山県射水市。年末31日の23年の調教が終わり、帰省中に被災した。

「子供と近所のお寺にいる時でした。一度、〝何かあったかな〟と感じた数分後に大きく揺れ、段々と大きくなってきた。墓石が倒れ、津波警報のアラームが鳴り響いて。怖かったですね。日本海側で津波は考えられず、大変な事が起こっていることが分かりました」

 富山県の震度は5強。比較的に地震の少ない県として知られ、過去には大聖寺地震(1930年)、能登半島地震(2007年)が震度5弱だから、県内でも過去最大となった。

 すぐさま、避難所に移動。近所のお年寄り、家族、子供たちが集まる中で非常食を配ったり、必要なお湯を沸かしてボランティアに務めたと話す。

 石川、富山に通ずる幹線道路が隆起し、亀裂が走る状態に。帰路となるはずの北陸自動車道は通行止め。トレセン年始の2日朝までに戻ることは不可能となった。

「スタッフや普段、調教を手伝ってくれている騎手たちに連絡して。皆のお陰で初日を終えることができました」

 調教師不在の24年初日だったが、その午後、徐々に交通網が部分的に解除されたことで、東海北陸道を迂回する形でトレセンへと戻ってきたという。

「まだ大きな揺れも続き、特に被害が大きかった石川県能登地方の方々のことを考えると……。無力さを感じました。今後は調教師としてやれることを邁進するだけです」

 今後は被災地への寄付も考えているとトレーナーは明かす。

 この3日間開催で小林厩舎は、7日(日)のすばるSのサンライズアムールを筆頭に、琵琶湖特別のケイアイサンドラら10頭がスタンバイする。調教師として4年目となる今シーズン。その活躍が郷土に届けば、皆の希望となるのは間違いない。

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