悲願のJRAGⅠへ──。橋口厩舎がNHKマイルC、新潟大賞典、鞍馬Sと日曜3場メインに有力馬を送り出す
公開日:2023年5月3日 14:00 更新日:2023年5月3日 14:00
NHKマイルCで〝笑門来福〟なるか
1勝の重み。鼻差、首差で明暗が分かれるのが競馬サークルの常だが、さらに近くて遠いのが重賞のタイトル。体調や相手関係、馬場、展開にも左右されるから、ひとつ勝つのはやはり難しい。
「今週は何とかしないといけない出走メンバー。もちろん、期待していますよ」
こう力が入るのは、2016年の開業から8年目の春となる橋口慎介師。父は言わずと知れた橋口弘次郎元調教師。ダンスインザダーク、ハーツクライやワンアンドオンリーを輩出し、地方や日本国内外で1000勝を挙げた名伯楽だ。
「親父に〝俺を超えたな〟と言ってもらえるぐらいの成績を残したい」
開業時にこう抱負を話した。初年度は14勝。翌年から15、15、24、22、27、27勝と昨年まで着実に勝ち星を積み重ねてきた。ただし、重賞勝ちは京都で行われた18年JBCスプリント(グレイスフルリープ)のみだから、中央重賞のもう〝ひと箔〟がほしいところ。
8年目シーズンの今年は4カ月で14勝。キャリアハイの勢いで勝ち鞍が上がっている。いい流れで今年の初GⅠに挑む。
《京都》
土曜2R セレクティオ・川田
日曜3R クランプレミア・田口
烏丸S シルバーエース・池添
鞍馬S サトノラムセス・松若
日曜12R ワセダハーツ・松若
《東京》
NHKマイルC ショーモン・鮫島駿
《新潟》
わらび賞 マルベリーシチー・菱田
新潟大賞典 セイウンハーデス・津村
今週はこのラインナップ。日曜新潟、京都、東京の3場メインに出走させる。もちろん、注目の一頭はGⅠNHKマイルCのショーモンだ。
デビューから②①③①③着。馬券外が一度もなく、重賞は3走前のデイリー杯2歳S、前走のアーリントンCで連続して③着。
「特に前走は強い内容。最初の1Fを逃げ馬と競らずに、じっくりと運べていたら、もっと際どかったと思います」とトレーナーは話す。
当時は雨の重馬場で前半は3F34秒1─45秒8。逃げたユリーシャが⑪着と沈んだ、このハイラップを2番手から最後は差し返し気味の頭、首差だから、中距離戦をもこなすスタミナがないとできない競馬でもあった。
「スッとスピードには乗らない馬ですが、勢いに乗れば止まらない。バテない強みを生かす意味で東京コースは合いそう」
最終追いは、別掲の追い切り速報にあるように坂路で併せ馬。4F53秒5、2F24秒5─12秒1を楽な手応えでマークした。大一番に向けて体は引き締まり、軽さも出てきた。
馬名のショーモンは〝笑う門には福来る〟の笑門来福から。勝てば、コンビを組む鮫島駿も初のビッグタイトルに。人馬、陣営とGⅠ初笑いとなるか。
新潟大賞典にはセイウンハーデスで挑む
その20分前、新潟が舞台のGⅢ新潟大賞典にもセイウンハーデスが出走する。
昨秋の菊花賞は掛かって⑰着と大敗したが、前哨戦のセントライト記念では④着。重賞に手が届く力がある一頭だ。前走の阪神芝二千㍍の競馬法100周年記念では「抜け出して物見をし、外に膨れながら」も1馬身差の完勝だった。トップハンデから3㌔差の56㌔でもあり、新潟ワンターンの二千㍍がはまれば、こちらも初タイトルのチャンスありだ。
京都のオープン特別・鞍馬Sにはサトノラムセス。マイルから千四路線へと移行して、⑧②①着で前走の阪急杯は⑨着だが、勝ち馬アグリがつくった3F33秒9─45秒2の流れについて回り、③着争いに加わる競馬でもあった。
「今回は放牧先から動きがいい。成長し、体も充実しています。さらに短くなり、よさが出てくれたら」だから、期待の3場メイン出走となる。
平場では、土曜京都2Rのセレクティオが勝っていい一頭。前走が③着馬を8馬身と離す連対だから今度こそだ。
好ラインナップで固め勝ちまであるか。今週の橋口厩舎には要注目だ。