【阪急杯】接着から普通の装蹄へ 今回は〝靴の履かせ方〟が違うダディーズビビッド(ネットオリジナル)
公開日:2023年2月23日 14:00 更新日:2023年2月23日 14:00
馬の靴──競馬ファンでも、そうでなくとも何を示すかはピンとくると思う。
蹄鉄である。アルミニウム合金製で蹄に合わせたU字状。ツメを保護するためにつけられる。その形状から、くぼみに幸運がたまると言われることでアクセサリーモチーフにも使われ、馬は人間を踏まないことから蹄鉄は安全運転のお守りともされている。
蹄鉄を馬の蹄に接着することを「装蹄」という。専用の釘・蹄釘を4~6本と使い蹄に打ち止めるものが一般的で蹄鉄にも釘用の穴がある。ツメが薄く蹄釘を使用できない場合等は充填剤が使用される。ディープインパクトで一躍有名となったのがエクイロックス。言わゆる接着装蹄と呼ばれる方法だ。
この両方を使用してきたのが、阪急杯出走のダディーズビビッドである。
「蟻洞の気があり、蹄釘を使える時と無理な時がある。状況によって、使い分けている」とは千田師。これは競走馬の脚元へ負担をかけず、いかに無事に走らせることができるかを、馬、厩舎、装蹄師との〝3人4脚〟で試行錯誤した末に生まれた作戦でもある。
人も馬もツメの元はたんぱく質。そして、伸びる速さは冬より夏場の方が速い。乾燥しやすい冬場は装蹄にも微妙な調整が必要となってくる。
その難しさが出たのが前走⑥着の睦月Sだった。1月中京での競馬だ。
「時季的なものもそうだし、馬もツメを気にしたのか、調教の段階から動き切れていなかった。結果、太めが残ってしまったね」。
実際、プラス18㌔での出走。結果的にこれが敗因となった。
2走前の信越Sで一度、勝っているオープン特別の2連勝を狙ったが結果は伸びを欠いて⑥着。動ける体つきではなかったのだ。
「接着装蹄から今回は蹄釘を打てた。不安なく動けるからなのか、厩務員、調教助手ともに〝絞れています〟という。走れるようになったかな」
ここ2走で①→⑥着と着順を下げたが、3走前はレコードのセントウルSで④着に入っている。重賞の壁はそう高くない実力馬だけに、〝靴の履かせ方〟が変わった今回は巻き返すか。