【日経新春杯】ヴェルトライゼンデ貫禄勝ちの背景

公開日:2023年1月16日 14:00 更新日:2023年1月16日 14:00

道悪の経験値と59㌔をこなした父系の血

 59キロも関係なし。中京で行われた日経新春杯はトップハンデのヴェルトライゼンデが制した。

 逃げたアフリカンゴールドがつくったペースは緩かった。前半5Fが62秒1。対して、後半5Fからは一気にペースが上がって、12秒2―11秒9―11秒5―11秒5―12秒4のラップ。トータルは59秒5だから完全に“後半型”となったが、これを好位5番手インから運ぶと、直線で馬場の4分どころから力強く伸びて勝ち切った。

 ②着キングオブドラゴンとは首差だが、この勝利は着差以上の強さと評価していい。

 斤量面を比較すればヴェルトが59キロに対し、②着キングは55キロで③着プラダリアは56キロ。また、先週末の中京競馬場は金~土曜に13ミリの雨。クッション値が「8」台に下がった軟らかい馬場は芝8戦を経て、かなり掘れ、キックバックが随分と目立つ荒れた稍重のコンディションだった。

 そこで、前記した後半勝負。ハンデがそのまま負担となりかねない展開を抜かせず、直線は手前を替えないままで制したから、明らかに強い。前走、ジャパンCで0秒1差③着に入った底力は本物だった。

 今回の勝利は、荒れ馬場での経験値も差となっていたか。2歳時は重、稍重の新馬→萩Sを連勝し、4歳時のアメリカJCCは不良馬場で連対経験があった。

 また、血統面で触れるなら、父ドリームジャーニーは59キロでGⅡを②③③②着。勝ちこそしないが馬券圏を外さず、その父ステイゴールドは58・5キロで22年前の日経新春杯(京都開催)を制しており、こなせるバックボーンもあった。

「59キロで勝ったのは価値がある」と池江師だが、それもそのはず。今後、大阪杯、天皇賞・春へと出走すれば、ともに負担重量は58キロ。1キロ減るから、JC同様の好走に期待ができる。

 過去のこのハンデGⅡは、好走した軽ハンデ馬が春のGⅠで結果を残せていなかったが、“1キロ増”の規定変更が思わぬ副産物を生むかもしれない。

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