亀井記者の血統ロックオン

タバル父子恵みの雨で連覇達成、クロワ父子は涙雨に

公開日:2026年6月16日 07:00 更新日:2026年6月16日 07:00

 今年の宝塚記念は梅雨の中休みで、晴れの良馬場で行われるかと思っていたのだが、阪神競馬場は返し馬直前にまさかの大雨。馬場も良→重まで一気に変わり、GⅠファンファーレの生演奏もなくなったほど。勝ち時計の2分12秒1は稍重だった昨年よりも1秒も遅い。開幕2週目で時計勝負も想定したのだが、見た目以上にタフな持続力勝負になった。

 この雨を味方につけたのが勝ったメイショウタバル。昨年に続く連覇を達成した。父ゴールドシップも13、14年に制しており、史上初の父子連覇となった。

 父はステイゴールド直子で、現役時代は宝塚記念連覇を含むGⅠ6勝を挙げたスタミナ・持続力型。稍重の皐月賞で0秒4差を付けたように、力のいる馬場を得意とするタイプだ。タバルは母の父がフレンチデピュティでスピードと持続力に優れた配合。直前の大雨は持ち前の持続力をフルに生かすのに持ってこいだった。父ゴールドシップの連覇達成時もレース時は良馬場だったものの、芝は6Rまで稍重。瞬発力勝負にならなかったことが勝因のひとつと言われている。まさに父子にとって恵みの雨となった。

 ②着はクロワデュノール。逆にこちらは雨がプラスとはならなかった。父キタサンブラックは先行力を武器にGⅠ7勝を挙げており、一見すれば馬場は合いそうなイメージなのだが、産駒の芝での競馬場別の成績を見ると最多の60勝が東京と意外と切れるタイプが多い。特にクロワはサーアイヴァーの6×5クロスを内包しており、ダービーや東京スポーツ杯2歳Sで見せたような瞬発力勝負が本来は得意なタイプだろう。海外の重馬場で重賞を勝っているように、決して渋った馬場が悪い訳ではないのだが、勝ち馬の粘りが増した分、最後まで捕え切れなかった。

 ちなみに、父も春古馬GⅠ3冠制覇がかかった17年の宝塚記念で敗れており、この時の宝塚記念当日も午前中は雨。こちらは父子にとって涙雨となったか……。

 ③着はダノンデサイル。父がエピファネイアがロベルト系でこの馬も直前の雨は歓迎だったクチか。ただ、道中は後方からで4角でも9番手。メンバー最速の上がり3F35秒0と差し込んできたが、展開を思えばここまでが精いっぱい。これで昨秋から4走連続でGⅠ③着と、善戦はするもののあと一歩が届かない。昔と比べるとやや前半の行きっぷりが悪くなっている印象。エピファネイア産駒は成長力に疑問のつく馬も多く、絶頂期と比べてやや前に行けなくっている点は気になる。

函館スプリントSで②③着の父ミスプロ系は今年も要注意

 土曜に行われた函館スプリントSは稍重発表ながら勝ち時計1分7秒4。稍重でもう少し時計がかかる可能性も考えたが、近年の印象通り高速決着となった。

 ラップを見ると2Fが10秒5で、その後は11秒1-11秒2-11秒2と大きく失速していない。単純なスピード勝負ではなく、高い巡航速度を維持し続ける能力が問われたレースだった。

 勝ったピューロマジックは父アジアエクスプレス、母の父ディープインパクト。ストームキャット系の父は現役時代は芝、ダートで重賞を制しており、本来ならダート色の濃い種牡馬だが、洋芝ではそのパワーが芝適性として表れやすい。稍重でも時計の出やすい洋芝という特殊な条件にマッチしたか。

 そして②着エーティーマクフィ、③着レイピアはともに父ミスタープロスペクター系。戦前のコラムにも記しように、時計の出やすくなった近年の函館芝で特注の血であり、きっちり馬券圏に入ってきた。

 ちなみに先週の函館6F芝ではタワーオブロンドン産駒のカガラプンツェル、フィレンツェファイア産駒のシーグルロスなど、父ミスプロ系の活躍が目立った。今年も父ミスタープロスペクター系の優位性は健在と言えそうだ。

新種牡馬エフフォーリア産駒は母の父サンデー系との相性に注目

 新馬戦では新種牡馬のエフフォーリア産駒が2勝。これで先週を含めて5頭が出走して3勝と上々の滑り出しをみせた。実は勝った3頭とそれ以外の2頭には血統面で違いがある。勝った3頭はすべて母の父がサンデーサイレンス系。勝てなかった2頭は母の父ミスプロ系、ストームキャット系だ。もともとエフフォーリアがパワータイプのロベルト系だから、サンデー系で軽さを補う配合が合うのだろう。

 一方、新種牡馬ではサリオス産駒が、<0105>。父は2歳GⅠ勝ち馬だけに産駒も早い時期から動けるかと思ったが、意外と結果が出ていない。血統をひも解くと、サリオス自身がハーツクライ産駒で、ドイツ系の血も内包しており、産駒は意外と遅咲きの傾向を示す可能性もありそうだ。

 もう1頭注目馬を挙げるなら土曜東京6Rを勝ったデミアン。父フライトラインは米国で6戦6勝、後続につけた合計着差が71馬身という怪物だ。その初年度産駒となる訳だが、人気にこたえて②着に1馬身1/4差の快勝。東京の芝千四のレースで上がり33秒6で差し切ったから、ダート専用という感じではなく、十分、日本の芝に対応できる可能性を感じさせた。

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亀井辰之介

 競馬好きの父親の影響もあり、子供のころから競馬中継を一緒に観戦。最初は父親が馬券を当てるともらえる臨時の小遣いが目当てだったが(ただし、父は穴党だったため、あまり的中した記憶はない……)、ある日、シンボリルドルフといういかにも強そうな名前の馬が、強く勝つ姿に魅入られたのが競馬ファンになったはじまり。
 その後はテレビゲームの競馬ソフトにどっぷりハマり、今までに遊んできた競馬ゲームは数知れず。その時に競走馬の配合の奥深さを知り、血統に興味を持ったのが今の予想スタイルの根幹か。現在でもたまにゲームをたしなみ、好きだった競走馬の産駒を活躍させることが小さな喜び。
 予想スタイルはもちろん“血統”。各馬の血統を分析。得手、不得手を見極め得意条件に出走する時に狙い撃ち! 好配当を目指します。

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