【天皇賞・秋】メイショウタバルで秋の盾8勝目を狙う武豊に聞く

公開日:2025年10月29日 14:00 更新日:2025年10月29日 14:01

「天皇賞に関して、逃げ切る馬を今まで実際に生で見たことがないですし、それだけ厳しいのかなと」(武豊騎手)

「平成の盾男」

 秋のGⅠシリーズを沸かす名手・武豊の異名だ。天皇賞は春秋ともに初騎乗となった89年に春はイナリワン、秋をスーパークリークで制している。春は8勝を挙げ、この秋は前人未踏の秋8勝目へメイショウタバルとのコンビで挑む。心中を聞いた。

    ◇    ◇    ◇

──前走の宝塚記念を振り返って。

「凄くいいレースができて、馬も一生懸命に走ってくれて、うれしかったですね。ドバイで乗せてもらったのが初めてだったので、ボクも手探りで乗っている段階ですが、レース前はドバイよりも気合が乗り過ぎて、〝レースで大丈夫かな!?〟という心境でした。何とか、途中から向正面に入ったあたりからいいリズムで。そこから最後までしっかりと走ってくれて強かったですね」

──中間は騎乗していませんが。状態面は把握していますか。

「石橋調教師からは〝順調だよ〟と。(けさの追い切りも)〝凄く良さそうだった〟と聞いています」。

──舞台は府中の二千メートルとなります。

「距離は問題ないと思う。ただ、東京ですし、ましてや天皇賞ですからね。今までのメイショウタバルのレースパターンといいますか、脚質を考えるとかなりハードルが高いと思っています。天皇賞に関して、逃げ切る馬を今まで実際に生で見たことがないですし、それだけ厳しいのかなと思っています。掴みどころがないというか、難しい面がある馬。逆に、宝塚記念ではこちらが思っている以上のパフォーマンスを出してくれる時もありますから、そこに期待しています。返し馬も決して簡単ではない馬なので、ゲートインまで無事にいけば。ゲートになかなか入らないレースもありましたし、それが関東圏のレースだったので。心配なことは多いですよ」。

──昨年はドウデュースとのコンビで制しています。

「①着が欲しいですし、特にメイショウタバルという馬で挑むので。メイショウさん、いわゆる先代オーナー(故松本好雄氏)のために勝ちたいなと思います。またこうやっていい馬と挑めるのは、本当に騎手としてありがたいですし、僕はレースでしっかりと乗るだけだと思います」。

咀嚼力が強くなりMからLサイズのメンコに変更

 名手が乗るメイショウタバル自身は、宝塚記念から約4カ月間でひとつパワーアップしている。

 担当する上籠助手も「以前はスラっと脚が長く見えた。今は見え方が全然違うし、全体に力強さが出た」と話すほど。現在、前走から馬体重も10キロ近く増えている。

 着けるメンコがMサイズからLへとひとつサイズアップしたという。「顎っ張りが大きくなって、Mじゃきつくなった」がその理由。

 実は、これも大きな成長を示すもの。ご存知のとおり、サラブレッドは草食動物で、口腔奥にある上下24本もの臼歯でカイバを咀嚼して胃腸へと送り込む。「顎が張る」という表現は、頬部分にある筋肉・咬筋が増えたことを意味する。

 見た目に頬が張り、「顎っ張りが大きくなる」馬は咀嚼力が強くなりイコール、よく食べる健康体だということ。同時に臼歯で磨り潰す力が強くなれば、より効率よく、栄養素を吸収でき、トレーニングでの筋力アップへとつなげられる。逆に、歯が悪い馬は食欲低下にも。

「芸能人は歯が命」というCMがあったが、「サラブレッドも歯が命」なのだ。メンコがサイズアップしたメイショウタバルは充実期を迎えているといっていい。

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