読者の皆さまに予想を提供している以上、本命馬の結果は当然のことながら、次走についても気にかけています。
負けはしても次につながる走りを見せてくれたなら、なおのことです。
今年の函館スプリントSではインビンシブルパパに◎。
結果は果敢にハナを切りながらも最後の最後で力尽きての④着。馬券圏内を外し、読者の方々に貢献することはかないませんでしたが、見どころ十分の内容。しかも、“洋芝で時計がかかると踏んで選んだ”陣営の思惑とは裏腹に千二1分6秒6という従来のレコードを0秒2も更新する超高速決着。初めての芝のレースで対応できたのは収穫ありでした。
次は実績のあるダートに戻るか、芝で続戦かと期待していたところ、チョイスしてきたのは芝のCBC賞。
1週前追い切りはウッドコースで全体時計は計時不能ながら、ラスト1Fは10秒8。矢のように伸びてきて先に抜け出した僚馬に、残り1F過ぎであった1馬身の差を詰めて楽に併入。今週も同じ相手に坂路で併せて首差先着の4F52秒3―12秒6と軽快な動きを見せました。
涼しかった函館から酷暑の本州に戻っての体調も気になったので、調教パートナーの黒崎調教助手に連絡するといろいろと詳細に教えてくれました。
「1週前は体感で4F52秒、3Fで36秒台でしょうか。今週も考えていた通りの時計。短距離馬なのですが、こちらの指示をずっと待っているぐらいで、何もしないと20―20になっちゃうぐらい。相変わらず操縦性は抜群でした。暑さもぜんぜんこたえていないみたいで元気いっぱいですよ。じゃないとあんなに動けません(笑)。鍵は左回りじゃないでしょうか。左回りの方が体を使えているような気がするんですよね。この感覚が間違っていなければ、最後にもうひと脚使えるんじゃないかと」
毎日またがっている乗り手でなければわからない微妙な部分も伝えてくれました。とくれば、迷いはありません。今度は読者の方々の懐を温めてくれるように祈って、◎を再度打ちます。
「ベガはベガでもホクトベガ!」
93年エリザベス女王杯でホクトベガが①着でゴールに飛び込んだ瞬間の実況です。当時、浪人生でフラフラしていた自分にとっては衝撃的であり、今でも予想の根底に根付いています。
ベガはバリバリの良血馬で鞍上が武豊。牝馬3冠にリーチをかけていました。対して、ホクトベガは父がダート血統でベテランの加藤和を配したいぶし銀のコンビ。春2冠でベガに大きく後塵を拝したホクトベガに勝ち目はなさそうでしたが、見事にリベンジ。この“逆転劇”こそが競馬の醍醐味ではないでしょうか。
かつて作家の寺山修司氏は「競馬が人生の比喩なのではない、人生が競馬の比喩なのである」と評したそう。馬も人も生きている間はいつかの大逆転を狙っています。雑草でもエリートを超えるチャンスはあるはずと、きょうもトレセンを奔走しています。