天皇賞・春を制したのはへデントール。昨年の菊花賞②着でダイヤモンドS勝ちのステイヤーがGⅠ初勝利を決めた。
昨年のテーオーロイヤル(リオンディーズ産駒)に続きキンカメ系が連覇。それどころか今年のGⅠ戦線は6戦が終了してキンカメ系が5勝と圧倒的だ。今まさにキンカメ時代といったところか。
へデントールは父がルーラーシップで、母の父がステイゴールド。母コルコバードは二千四百㍍で3勝と距離が延びていいタイプ。だが、ここで注目したいのはステイゴールドだ。
実は母の父ステイゴールドの馬が天皇賞・春に出走するのはへデントールが初めてのケース。ステイは父としてフェノーメノ(2勝)、ゴールドシップ、レインボーラインと3頭の勝ち馬を出すなど春天では特注の種牡馬だったが、あらためてその血の存在感をみせつけた格好になった。今後は母の父ステイの馬がこのレースで活躍してくるのではないだろうか。
②着はエピファネイア産駒のビザンチンドリーム。サウジアラビアのレッドシーターフHで三千㍍戦を制しての帰国初戦で結果を出した。
産駒のデビュー当初は成長力に疑問符がついていたエピファネイアだが、昨年はブローザホーンが5歳で宝塚記念を制覇。テンハッピーローズも6歳でヴィクトリアマイルをVとロベルト系らしく古馬になり力を着けてくる馬も目立ってきだした。
ビザンチンは母の父もジャングルポケットとトニービンの血を引いており、ここからまだ力をつけてきそうな感じ。海外GⅠを制したダービー馬ダノンデサイルと2頭でこの世代のエピファ産駒をけん引していってくれそう。
③着ショウナンラプンタはキズナ×アンブライドルズソング系。母はアルゼンチンの二千㍍ダートGⅠを勝っているとはいえ、ストームキャットの3×4のクロスもあり、前走からの距離延長には正直不安もあったが結果を出した。上位2頭との差はステイヤー資質の違いだが大健闘と言える内容。距離が短くなればあっさり逆転してもおかしくない。ここまでの3頭が昨年の菊花賞で掲示板に載った馬というのが、現4歳世代のレベルの高さを示している。
ちなみに④着も4歳世代のサンライズアース。父が長距離型を出すレイデオロで、母の父マンハッタンカフェ。前走の内容からスタミナ勝負になれば思っていたのだが、今回は他馬も速く思ったほど前で競馬ができなかったな印象。これがGⅠの流れなのだろう。道中はスタンド前から促しつつの追走。それでいて最後までしぶとく脚は使っており持ち前の持久力は発揮できた。ただ、今回でもそうだが配合的にもエンジンのかかりは遅いタイプ。現状は小回りで機動力を生かすような競馬の方がが合っているのかもしれない。
土曜に東京で行われた京王杯スプリングCはトウシンマカオが重賞5勝目を挙げた。
これまでやや甘さも見せていた左回りで初めての重賞勝ち。それも勝ち時計の1分18秒3は02年の新潟、NSTオープンでマグナーテンがマークした7F芝の日本レコードを0秒7を更新するもの。馬場がいい東京とはいえ、決してベストとは言えない舞台でこの内容だから、晩成型の多いビッグアーサー産駒らしく6歳にして充実期を迎えた印象だ。
また、前走の高松宮記念が6枠12番から④着なら、今回が7枠12番でのもの。前走時の回顧にも記したが再度〝外枠のアーサー産駒〟は覚えておきたい。
土曜に京都で行われたユニコーンSはカナルビーグルが重賞初制覇。リアルスティール産駒は重賞5勝目でダート重賞は初勝利だ。同馬は母ソブラドラインクがアルゼンチンで芝二千のGⅠを2勝だが、母の父インクルードは米9・5FのダートGⅠ勝ち馬。カナルはストームキャットの3×4のクロスを持っておりダート向きに出ているのだろう。直線で進路がなくなりそうになったときにサッと内へ切り返せる機動性の高さは大きな武器になりそう。
②着はナダル産駒のクレーキング。今回はスタートであおって出負けしたのがすべて。それでも後方追走から道中で進出と長く脚を使っており、スムーズならといった競馬。今回だけで評価は落とす必要はない。あらためてナダル産駒のダート適性の高さを見せた格好だ。
同じく③着メイショウズイウンもつまずき気味のスタートで後方からになったのが痛かった。ホッコータルマエ×エンパイアメーカーと本来はダートで機動力を生かすイメージの配合。今回のようのに後ろからの競馬でもある程度やれたのは収穫にはなったか。
3歳のダート重賞の話が出たところで、米国で行われたケンタッキーダービーの話題を。日本から出走した2頭はルクソールカフェ⑫着、アドマイヤデイトナ⑲着と惨敗だったが、これは不良馬場がこたえた。同じダートでも日本と米国ではかなり砂質が違う。今回のように不良馬場ともなるとまさに〝田んぼ〟の状態でこの結果も仕方なしか。特にルクソールカフェは全兄が東京の鬼カフェファラオだから、時計の出やすい軽い砂がベスト。今回の馬場はまったくの適性外。疲れを残さず帰ってきてほしい。