【ドバイワールドカップデー】現地ルポ 「ハナに行くかも」とデルマソトガケのルメールがにおわせれば、ドウデュースの友道師は「状態万全」
公開日:2024年3月28日 14:00 更新日:2024年3月28日 14:00
27日夜明け前、世界からドバイに結集した強豪らが最終調整を終えた。そこでどんな話が聞けたのか。現地ルポをお届けする。
「前走はスタートでジャマされて後手を踏んでしまった。最後はよく伸びてくれただけに残念でならない」
ドバイワールドCで2番人気が予想されるデルマソトガケのルメールは唇を噛み、前走のサウジCを振り返った。
「きのう、ダートで騎乗したが、今年のドバイのダートはサウジよりも軽い。グッドポジションを取ればサウジより着順を上げられるよ」
取材を終えて、ホテルへ急ぐクリストフを追った。“去年のUAEダービーのようにハナを切ることもあるか?”と尋ねると、クリストフは振り返ってウインクをしてみせた。
昨年のUAEダービーでは誰もが予想していなかった逃げを打ち、千八通過はドバイWCをはるかに上回っていた。ゲートが速ければ昨年同様、ハナを切り自分のペースに持ち込みそうだ。
一方、「言われているほど馬場は変わっていない」。
こう見るのは昨年の覇者、ウシュバテソーロの川田。ウシュバはサウジCはゴール直前で大魚を逃したが、陣営は僚馬ウィルソンテソーロをラビットにしてハイペースを狙う。これにデルマがどう絡んでいくか、スタートが最大の鍵となろう。
ドバイターフのドウデュースにも内外の注目が集まる。この日は開場と同時に馬場入りし最終調整。昨年直前で出走取り消しとなった雪辱を期す。
「ダービー、有馬記念を勝ってはいるが、馬体を見れば分かるように距離は短めの方がいい馬。武豊騎手の意見も聞いて前残りが多いシーマクラシックよりは差しが利くターフの方が適鞍と判断した。けさはゆっくりのつもりだったが、最後1Fは10秒ちょっととびっくりするほどの切れ味。状態は万全」
慎重居士の友道師が珍しく自信を垣間見せる。ドバイターフにはダノンベルーガ、ナミュールも出走し、日本馬の上位独占が期待されるが、穴に香港馬ヴォイッジバブルが面白い。
昨年の香港4歳3冠クラシックの2冠馬。昨年12月の香港マイルでは軽視されながら、あのゴールデンシックスティの②着。年が明けてマイルGⅠ勝ち、前走はあのロマンチックウォリアーの②着である。
ドバイへの途中、立ち寄ったシャティン競馬場で調教師のリッキー・イウは余裕しゃくしゃくに言った。
「人気薄だろうから気楽にいくよ」
(売文家・甘粕代三)