【ジャパンC】元祖二刀流の根本師がウインエアフォルクを弟子の藤田菜七子で出走させる深い理由
公開日:2023年11月23日 14:00 更新日:2023年11月23日 14:00
ジャパンCにウインエアフォルクを送り出す根本調教師はジョッキー時代から、意外性というカテゴリーでは右に出るものはいない存在だ。
先週、引退した熊沢騎手は平地(91年有馬記念=ダイユウサクなど3勝)と障害(12年中山大障害=マーベラスカイザー)のGⅠを両方勝つ〝二刀流〟としてならしていたが、根本師も79年の中山大障害をバローネターフで勝ち、87年ダービーもメリーナイスで制した二刀流の先駆者だ。
経歴の中で特にアッと驚かせたのは85年天皇賞・秋のギャロップダイナだろう。
単勝1・4倍と圧倒的1番人気の支持を集めた皇帝シンボリルドルフを、13番人気で単勝88・2倍の当時まだ準オープンクラスだったギャロップダイナで差し切ったのだ。
「オレは235勝しかしてないのに、(グレードがついてからの)重賞を14勝もして平地GⅠも3勝。大舞台に強いんだよ(笑い)。ま、それもこれも舞台に立たないことには勝つも負けるもないからね。そう、出走すればチャンスはあるってことさ」
ウインエアフォルクも同じ考えで出走を表明。
2週前登録の時点では補欠だったが、賞金上位馬に回避が出て出走に漕ぎつけたあたりはさすが〝もっている〟のだろう。
愛弟子の藤田に手綱を託すのもいかにも根本師らしい。
「オレもメリーナイスの時にスプリングSや皐月賞で負けて、(管理していた)橋本先生もいろいろ言われたと思うよ。でも、ダービーでも任せてくれた。勝って結果を出すことができたけど、それもこれも乗せ続けてくれたおかげだから。経験値は何よりも大事なんだよ」
その親心は藤田も十二分に感じ取っている。
水曜に行われた追い切りにまたがって、ウッドで6F82秒8-37秒6、1F11秒8。併せたニシノコイゴコロに半馬身先着する力強い動きを披露した。
「レースが近くなると自分で調整してくる賢いタイプなんです。調子は良さそうでしたよ」
デキに関しては好感触。それだけに強敵相手でも〝ひとつでも上の着順へ〟と腕を撫す。
「オーナー、先生を始め、関係者の皆さんが機会を与えて下さったわけですからね。自分自身、ジャパンCに乗れるのは楽しみですが、それだけではなく、この馬の強みを引き出して何とかいい走りを見せたいと思っています」
JRAの女性騎手としても初めて立つJCという大舞台。師匠の期待とともに、パイオニアとしてどのような手綱さばきを見せてくれるか、要注目だ。