【天皇賞・秋】令和初の天覧競馬で最敬礼する人馬は!? 〝初代〟名シーンの松永幹夫調教師に当時を聞いた

公開日:2023年10月25日 14:00 更新日:2023年10月25日 15:10

 今年の天皇賞・秋は天覧競馬となる。天皇陛下がJRA競馬博物館、および第168回天皇賞・秋を御覧になるため、東京競馬場へ行幸されるとJRAから発表された。

 1905年創設のエンペラーズカップから帝室御賞典、平和賞と変わり、47年の秋より天皇賞と改称された。37年の帝室御賞典が第1回の天皇賞でもあった。

 2000年以降では、05年の第132回天皇賞・秋には「エンペラーズカップ100年記念」の副題がつき、天皇皇后両陛下が観覧する初めての天皇賞に。天覧競馬の2度目は7年後の12年。今年が3回目となる。

 18年前を制したのがヘヴンリーロマンスで、鞍上は松永幹夫騎手(現調教師)。前年の秋天、ジャパンC、有馬記念を3タテした年度代表馬ゼンノロブロイが1番人気の支持を集める一戦を単勝75・8倍で制した。

 当時の様子を松永師に振り返ってもらった。実は、あの〝名シーン〟の数時間前に両陛下とはご対面をしている。

「お昼に武さん(武豊騎手)、善臣さん(柴田善騎手)と自分で、天皇皇后両陛下をお出迎えしたんです。あの時が一番緊張しましたよ、レースよりも。お声までかけて下さり、大変光栄でした。今でもはっきりと覚えています」

 レースは14番人気。最内枠もあり、「札幌記念を勝っていたけど、当時は凄いメンバー。気楽な立場で、いい位置を取ってロスなく回ることだけ考えていた」

 道中は8番手のイン。前にサンデーサイレンスの良血ダンスインザムード(③着)、外には②着馬の1番人気ゼンノロブロイがいた。その間から最後のひと伸びで先頭に立ってゴール。ウイニングランのあと、あの貴賓席への最敬礼が生まれる。

過去2回はゼンノロブロイ、フェノーメノと1番人気馬は②着

「ただ、人気薄で自分で勝つとも思ってみなかった。JRA職員から言われた〝馬を止め、最敬礼をすること〟を思い出して。一礼した時に、あれだけ凄かったスタンドの大歓声が一瞬、鳴りやんだんですよ。そこから、また拍手と大歓声に。何とも言えない雰囲気でした」

 緑のターフにいるヘヴンリーロマンスと松永幹夫。ピンスポットを浴びたような映画のような光景だった。ヘヴンリーロマンスの母はファーストアクト。文字通りに天覧競馬の〝第一幕〟だったとも話題となった。

 6年後にもエイシンフラッシュとM・デムーロによる〝ナイト式〟最敬礼が生まれている。

 ちなみに過去2回の天覧競馬は、ゼンノロブロイ、フェノーメノと1番人気の関東馬はともに②着でやぶれている。今年、貴賓席に向かって最敬礼をするのはどの人馬なのだろうか。絵になるシーンを期待したい。

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