【セントウルS】富田が特別3鞍のみの騎乗で3連勝 テイエムスパーダ逃げ切りの裏にある悔やまれた「あの日」

公開日:2023年9月11日 14:00 更新日:2023年9月11日 14:00

 阪神で行われた「サマースプリントシリーズ」の最終戦となるセントウルSは大波乱の決着。勝ったのは14番人気のテイエムスパーダ。鞍上の富田は7年目での重賞初制覇となった。

 まさに日曜阪神は“富田デー”だった。

 その日曜は3鞍のみの騎乗で、すべて特別戦。まず初っパナの能勢特別では5番人気アレグロモデラートで、先行策の2番手から最後は競り合いを制して頭差V。続く準メインのオークランドTRTは9番人気メイショウミツヤスで、今度は一転して差す形で4角7番手から鮮やかに決めた。

 そして富田の渾身騎乗とも思えたのがセントウルS。初コンビのテイエムスパーダはそれまでの2鞍からさらに人気は下がって14番人気の単勝100倍超えだ。

 それでも「この馬の形で競馬ができれば強いと信じて」の言葉通りに、ゲートを決めると押して押してハナを主張。さらに前半3F33秒5で入った直後の4F目には1F10秒9と息を入れるのではなく、逆にピッチアップしてみせた。

 この強気の騎乗が持ち味を引き出したうえに、開幕週の馬場にもうまくマッチ。最後はアグリの差し込みを1馬身差封じてのフィニッシュだ。

 これが富田自身、重賞初制覇となったが、チャンスがなかったわけではない。思い出すのが今夏の札幌、エルムSだ。

 当時のパートナーはペプチドナイル。初めての重賞1番人気の手綱だったが、内枠から行こうとするも他馬にハナをたたかれて、自分の形が取れないまま。見せ場なく⑬着に終わった。悔やまれた結果になったのは違いない。

 その一戦があったからこそ、今回は絶対にハナは譲らないという“魂の騎乗”となったのではないか。

 所属する木原厩舎はこれが節目の重賞10勝目。「先生が(定年まで)1年ちょっとというところで重賞を取れたのはうれしいです」と富田が言えば、師は「夢のようだよ。こんなことあるんだね。富田で勝てたことが一番うれしい」と検量室には“師弟愛”があふれていた。この先も引退までの間に、師弟コンビの活躍を期待したくなる。

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