億超えゼロでも2歳種牡馬トップはスワーヴリチャード
公開日:2023年8月3日 14:00 更新日:2023年8月3日 14:00
母系の血が日本にマッチ
先週日曜、札幌5Rの2歳新馬戦(芝千八)を逃げ切ったのは6番人気パワーホール。
1番人気はソングラインの弟ソニックライン、2番人気が17年のヴィクトリアマイル馬アドマイヤリードが母のキャプテンシー。この2頭を③②着に抑えて、4馬身差の逃げ切りを決めた。
前半5Fは64秒4のスローだったとはいえ、上がり2Fは11秒2―11秒1で後続の脚を完封。上がりは最速の34秒5でまとめたから、なかなかの勝ちっぷりだ。
父はスワーヴリチャード。今年デビューの新種牡馬で、この勝利が6勝目に。2歳戦でトップのモーリスが7勝で、これに1勝差に迫り、今年の新種牡馬の中ではトップを独走している。
スワーヴは4歳時の18年大阪杯が初GⅠ勝ちで、5歳時の19年にはジャパンCを制覇。早くから活躍していたが、古馬になってからビッグタイトルに手が届いたという点は、いかにもハーツクライ産駒らしい。
父がハーツの種牡馬といえば、14年のドバイデューティフリー(現ドバイターフ)、安田記念を連勝したジャスタウェイ、17年のジャパンC馬シュヴァルグラン、14年のダービー馬ワンアンドオンリーがいる。
ジャスタウェイは20年のホープフルS馬ダノンザキッド、ケンタッキーダービーに出走し、のちに交流重賞を4勝したマスターフェンサーを輩出したが、ワンアンドオンリーは現4、3歳世代の合計で6勝止まり。シュヴァルグランはスワーヴと同じく今年の新種牡馬だが、まだ勝利を挙げていない。それを思えば、スワーヴがここまで2歳戦で活躍するのは意外とも思える。
今年の2歳馬でセールにおいて1億円を超えた馬は46頭。そのうち、多いのがスワーヴの父ハーツクライの産駒と、レイデオロ産駒が6頭ずつだった。
一方、スワーヴはというと最高額は7260万円。500万円以下で取引された馬も6頭いる。初年度産駒である今年の2歳は超お買い得であったかもしれない。
この成功の裏にはスワーヴの母の父がアンブライドルズソングというのもあったか。これは今年のセレクトセールの目玉だったコントレイルと同じで、現役馬ではジャックドールも。日本での成功例が多いパターンなのだ。
同期には前記のレイデオロが。ダービーでスワーヴは②着に敗れた。
しかし、種牡馬としても同期となったこの2頭は、現在のところ、1勝のレイデオロを大きく引き離し、スワーヴがリードしている。
とはいえ、第2ラウンドの戦いは始まったばかり。来年のクラシックの頃に、ひとつの答えが出るかもしれない。