JRA最終騎乗を終えた〝騎手〟福永祐一が語った(ネットオリジナル)

公開日:2023年2月19日 18:00 更新日:2023年3月10日 11:39

 〝騎手〟福永祐一がJRAでの最終騎乗を終えた。1万9497戦。多くのファンに見守られ、多くの騎手に囲まれながら引退式でこう心境を語った。そのインタビューを。

──東京12Rのゲンパチプライドは⑤着。JRAでの最後のレースを終えました。

福永祐一騎手 最終レース、沢山の方に単勝を購入して頂いて1番人気に支持して頂いたんですけど、そこでいい結果を残すことができなかったので、それは大変申し訳ないな、という気持ちでいます。

──本日はどんな心境。

福永騎手 1Rから本当に多くのお客さんに来ていただいて、GⅠレースということもありましたし、自分の日本での最終騎乗を沢山のお客さんの前で終えることができて、非常に幸せな気持ちになりました。

──ヒヤシンスSではペリエールで勝利。2636勝目に。

福永騎手 1番人気に支持され、3歳馬という未来がある馬で、次は自分が乗ることができないという状況にも関わらず、依頼を下さったオーナーを始めとする関係者の方々の思いに非常に嬉しく思いましたし、だからこそ、一番いい結果で応えなきゃいけない、という思いで、近年の中では一番プレッシャーがかかる一戦でした(苦笑い)。

ボクよりもおじさんのふたり(柴田善、武豊騎手)に花束をもらうのは複雑な気持ち

──引退式では柴田善臣騎手、武豊騎手から花束を贈呈。何か、言われましたか。

福永騎手 「順番が違うだろ」と言われました(笑い)。自分も結構いいおじさんなんですけど、ボクよりもおじさんのふたりに花束をももらったのは複雑な気持ちではありました(笑い)。なんか、先にこういう形になり、複雑ですが、(調教師となり)おふた方に依頼できるように馬をつくりたい。

──東京競馬場での思い出は。

福永騎手 本当に沢山の経験をとりわけ、ダービーでさせて頂きましたし、悔しい気持ちも、嬉しい気持ちも感動も。ダービーの舞台が自分に大きな経験を与えてくれたので、ここの競馬場でGⅠを勝つということは。沢山のお客さんに迎えられるので最高なんですよね。ジョッキーの醍醐味のひとつ。大きなやりがいを東京競馬場と皆様に与えてきただきました。

──初めての重賞勝ちは97年東スポ杯3歳Sのキングヘイロー。

福永騎手 鮮明に覚えています。お客さんがいない時も、無観客のダービーもありましたが、それでも最高でした。最高のジョッキー人生でした。

──東京競馬場では230勝、うちGⅠ13勝。

福永騎手 本当に多くの勝利の与えて頂きましたし、どの競馬場でも沢山のお客さんがいて、あらためて、日本の競馬は最高だなと。GⅠファンファーレ時の拍手を聞いて思いました。最終騎乗サウジアラビアで控えていますので、きょうは感傷に浸るのもできれば避けたいなとは思っていたんですが、いざ、こうやって沢山の方に迎えられると、いろいろこみ上げる気持ちがあります。

──サウジアラビアでは、リヤドダートスプリントではリメイク、サウジダービーでエコロアレスに騎乗。

福永騎手 最終騎乗を日本の競馬ファンの皆様の前で見せることができないのは自分の中でも心残りのひとつではありますが、騎乗依頼をいただいた、自分が騎手免許が持っている最終週に騎乗依頼を頂いたのが、たまたまサウジアラビアだったということで。最後まで大きいレースの依頼をいただいたことに感謝しています。いい結果、いい騎乗をみせられるように頑張っていきたいと思います。

「未練はひとつもない。騎手という仕事を味わい尽くせた」

──最後に。

福永騎手 自分がきょうの日を迎え、自分がどういう気持ちでいるのか、自分自身も非常に興味深く、心の中から湧き上がってくる気持ちを見ていたました。後悔は尽きなかったですが、未練はひとつもありませんでした。本当に満足する結果というものはどこまで行っても残すことはできないのかなとは思いますが、自分が未練なく騎手という仕事を終えられることに自分はやりきったのかな、と。騎手という仕事を味わい尽くせたのかなと感じています。自分は父が騎手ということもあり、この世界に足を踏み入れましたが、北橋先生を始めとする方々に育ていただけました。

 自分には過ぎた勝ち鞍、勝ち数を上げることができました。何より、27年間、一度もこの騎手という仕事が嫌だと思わずにここまでくることができたのは、日本の競馬を支えてくださっている沢山のファンの方のお陰だと心から思います。日本の競馬をいつも盛り上げていただいて、本当にありがとうございます。自分は次のステージ、調教師という仕事に進みますが、多くの方々に応援してもらえるような馬をつくり、並んでくれているジョッキーと共にまた競馬を盛り上げていけたらと思います。本当にありがとうございました。

◇   ◇   ◇

 時折、目に涙を浮かべながらJRA騎手・福永はこう話した。戦友の騎手仲間と握手し、ファンの暖かい拍手に見送られターフを後にした。

サウジ遠征を終えたあとの3月4日(土)、阪神競馬場で福永の〝本当の〟引退式が行われる。

最新記事一覧

  • アクセスランキング
  • 週間