〝騎手〟福永祐一の国内ラスト調教は北橋厩舎の厩舎服に身を包んだ(ネットオリジナル)

公開日:2023年2月16日 14:00 更新日:2023年3月10日 11:41

 けさ、栗東トレセンは冬らしい空気に包まれていた。調教スタンドにある寒暖計は0℃。キンと冷える朝、福永祐一の姿はあった。

 昨年、調教師試験に合格。この2月いっぱいで騎手生活を終えることは既報のとおりだが、ジョッキーとしてのラストウィークはサウジアラビア遠征。国内での調教、競馬は今週が最後となる。

 開門前、騎手の待合室でもある馬見所のベンチに福永はいた。白地にアメリカ国旗を模したジャンパーを着て。それは、デビューした96年、所属であった北橋厩舎の調教服でもあった。若かりし頃の福永の映像でよく見るジャンパーでもある。

「懐かしいのを、引っ張りだしてきた(笑い)」

 こう照れて話したが、師匠でもある北橋修二元調教師を始め、自身を育ててくれた人、馬への感謝の気持ちであることはひと目で分かる服でもあった。原点回帰──。

「この調教服で締め括るのもいいかな、と。非常に人と馬に恵まれた騎手人生だったので」

フェブラリーS・オーヴェルニュは「コンディションは非常にいい」

 その国内最後の調教日は、フェブラリーSで手綱を取るオーヴェルニュに乗った。開門数分前、同馬にまたがると各カメラマン、記者勢からシャッター音が響き、開門と同時に先頭で馬場へと入場。

 スタンド前からCウッドコースへ出て調教が始まった。1周約1900㍍のCウッドコースで呼吸を併せ、リズムよく向正面へ。6F83秒7─66秒6─51秒6─36秒7─11秒7を楽な手応えでマークした。人馬の呼吸があった調教だった。

「いい追い切りができました。太め感があれば、やるつもりでしたが、それもなかった。気持ちよく、最後まで伸びてくれた。オーバーワークも避けつつ、余力を残した中でいい追い切りができた。人気はないですが、コンディションは非常にいい。力を出せるように尽くしたい」と話した。

 今週末が国内最後の競馬となる。土曜は阪神。日曜は東京で騎乗する。

 土曜阪神では、最終レース終了後(16時30分頃)のパドックで引退式が行われる。また、JRAでの最終騎乗日となる日曜東京では、こちらも最終レース終了後に芝コースでインタビューがある。ファンへどんな言葉を発するか、今度はスーツ姿となる調教師への展望を語るのか。

 まもなく、JRA騎手・福永祐一の幕が下りる。

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