データ室・武田記者のラップと馬場差を徹底分析する

トライアル勝ち馬2頭の次走を占う

公開日:2019年9月18日 17:00 更新日:2019年9月18日 17:00

 3日間競馬というのはとにかく忙しい。さらに土曜夜に愛チャンピオンSをリアルタイムでチェックし、日曜晩には凱旋門賞の前哨戦も。

 だが、この3日間に行われたレースを自分なりに消化し、きちんと分析しておけば次の大きな収穫となるはずである。

 2日目の阪神メイン、GⅡローズSは1番人気ダノンファンタジーが差し切り、千八1分44秒4のレコードを記録した。

 この日は1勝クラスのマイルで1分33秒1が出ていることから、この時計は比較上、驚くには値しないが、自身の上がり3Fは33秒1。こんなに切れる脚があるとは思わなかった。

 レースの後半5Fは57秒3。これはローズSで最速の12年を0秒5も上回り(勝ち馬はジェンティルドンナ)、ダノンは間違いなく56秒台後半の脚を使っている。

 ただ、記録はなかなかでも気になる点も多々ある。まずは、レコード駆けの反動を気にしなければならないこと。ただですらテンションが上がりやすいタイプだ。これでさらに高ぶらなければいいのだが……。

 また、もう一点気になるのは中内田厩舎の過去のデータ。これまで「前走GⅡ勝ちから臨んだGⅠ」は⑥④⑧⑯着と結果が出ていない。「これで本番も」と考えるのは早計ではないだろうか。

 記録的な価値は月曜中山のGⅡセントライト記念の方が高い。リオンリオンの勝ち時計は二千二百メートル2分11秒5。重馬場でありながら、レース歴代5位の数字だからだ。

 今回の勝利は一言でいうなら地力の違い。いくらか回復傾向にあったとはいえ、7Rまで雨。水分をたっぷり含んだ馬場なのにレースは流れた。アトミックフォースの逃げは5F59秒8。スタート直後の1Fを除けばすべて12秒2以下なのだから、先行した馬にとっては相当にきついはず。実際、②着サトノルークスや③着ザダル、④着ルヴォルグは中団にいた馬だし、⑤~⑧着は後方待機組だ。

 リオンリオンは3番手抜け出しで、②着に2馬身差。1頭だけ違う内容の競馬をしている。

 しかし、今回証明したのはあくまでも中距離での強さだ。父ルーラーシップからは菊花賞馬キセキが出ているが、あのドシャドシャの不良馬場は参考にしにくい。それ以外は芝三千メートル超で〈0005〉。また、その父キングカメハメハ産駒も三千超GⅠでは〈01222〉と不振だ。本質的にステイヤーではない。

 セントライト組から菊花賞で一発ありそうなのはニシノデイジーか。ダービー⑤着の実績があって、なおかつ末脚は確実。3歳秋に成長するハービンジャー産駒だけに、菊の穴馬候補としておく。

武田昌已

武田昌已

月~金は麻雀、土日はウインズだった学生生活を経て、入社後は編集一筋25年超。2015年春は何と9週連続重賞的中の快記録も達成し、2016年は春東京でGⅠ4連勝も。馬場の傾向、ラップの分析に定評がある。毎週、目黒貴子さんとその週の重賞解説の動画も公開中。

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