データ室・武田記者のラップと馬場差を徹底分析する

新潟でブレークした東の3歳馬2頭

公開日:2019年9月3日 17:00 更新日:2019年9月3日 17:00

 新潟記念の◎アクートはまさかの最下位。ブービーから3秒以上も離された⑱着に終わった。

 聞くところによるとレース後、丸山は「ついていくので精いっぱい」とコメントしていた。どうやら夏負けの気が見られたようで、こういう不可解な負けがあるのも競馬である。

 小倉2歳Sでシンガリ負けとなったヒバリ(こちらはJRAが鼻出血と発表)もそう。現実を受け入れるしかない。

 さて、その新潟記念。今年はかなりタフな流れとなった。

 伏兵ブラックスピネルが先導役を務め、前半5Fは58秒6。1分57秒5の好時計決着の要因となった。

 新潟記念が前後半とも58秒台だったのは08年以来(勝ったのはアルコセニョーラ)、11年ぶり。残り1000メートルから800メートルの間に12秒5が刻まれた以外は10秒9~12秒0と一貫して速いラップでは、いくら平坦の新潟でも地力勝負になる。そんな中でスタミナに秀でているユーキャンスマイルが勝利したのは、ある意味、当然といえよう。

 だが、ラップ面で考えれば、強い競馬をしているのはやはり先行したクチ。逃げたブラックスピネルはこれがブリンカー着用6戦目。初めてだった今年1月の白富士Sを逃げ切り、以降、逃げた時は⑤②④着である。

 以前も超スローに落とした東京新聞杯を勝ったことがあるし、この形がベストか。今回は1800㍍通過1分45秒5で逃げ、その時点まで先頭。かわされてからも止まっていないので、次あたりは相当に怖い。

 ②着ジナンボーは4番手から流れ込み、最後まで勝ち馬とたたき合った点を評価。まだキャリア7戦。良くなる余地はたっぷりあるし、瞬発力勝負より、こういうタフな競馬も向くのだろう。

 話は変わって、この6週間の新潟開催中、連勝した馬は4頭。新潟2歳S馬ウーマンズハート、越後S→NST賞のストロベリームーンの関西馬2頭に、関東馬はネリッサ、ナランフレグだ。

 ネリッサは8月3日、1勝クラス勝ちが芝の千四。5F57秒4の速い流れを7番手追走。②着とは4分の3馬身差でも、そこから③着は3馬身半離れていた。時計は1分20秒6である。

 2勝クラスは外回り千六の五頭連峰特別。スローで1分34秒4の時計は平凡だが、5F60秒8という全く違う流れに対応したのが凄い。

 ナランフレグは初日の直千競馬、閃光特別を54秒6の速い時計で勝利。この時、上がり31秒7をマークした。ちなみに、1勝クラスで31秒台の上がりで勝ったのは史上2頭目である。

 とはいえ、特殊な条件の記録だから……と思っていたら、先週土曜の飯豊特別(写真)も連勝した。芝千二の大外18番枠から差し切ったのには驚いた。

 新潟でブレークしたこの3歳馬2頭。単なる夏馬、新潟専用馬ではない気がしている。秋の活躍にも期待したい。

武田昌已

武田昌已

月~金は麻雀、土日はウインズだった学生生活を経て、入社後は編集一筋25年超。2015年春は何と9週連続重賞的中の快記録も達成し、2016年は春東京でGⅠ4連勝も。馬場の傾向、ラップの分析に定評がある。毎週、目黒貴子さんとその週の重賞解説の動画も公開中。

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