目黒貴子のアツアツ交遊録

〈113〉美浦で馬具屋さんを経営している渡辺新さん(1)

公開日:2025年7月2日 14:00 更新日:2025年7月2日 14:00

 渡辺新(あらた)さん。肩書きとしては「株式会社 渡辺馬具 代表取締役社長」。美浦で馬具屋さんを経営しています。

 私個人としては、以前にジョッキーのレースで使うムチの仕様が変わったとのことで、その取材の一環として訪れたのが最初でした。従来のムチと新しいムチとの違いを細かく教えていただいて、とても勉強になったことを覚えています。

 その後、トレセンの助手さんや厩務員さんなどとの大規模な新年会でたまたま正面の席になったり、以前こちらにも登場した鞍と馬体の間のタオルのレンタルをしている池田充孔さんの取材の際、〝実際に見た方が分かりやすいから〟と連れて行ってもらったのが渡辺馬具店であり、そこで説明をしてくれたのも渡辺新さんだったわけです。

 馬具という競馬には欠かせないものでありながら、なかなかその詳細は分からない方も多いのでは? そう考えて今回アポを取らせていただきました。

「ウチでいいなら」と少々消極的ではありましたが、了解をいただき、取材をさせてもらいました。

 ということで早速、美浦へ。店内は所狭しとさまざまな馬に関するものが置いてあります。

 鞍やハミ、ステッキ、腹帯、チークピーシーズ、あぶみ、バケツ、ジョッキーパンツや中には虫除けまで。「この季節になるとね、やっぱりニーズがあるんですよ」。確かに。特に夏はその悩み多いですよね。

「馬に関するもの。馬の世話に必要なもの、ニーズに合わせて揃えています」。虫除けの隣に置いてあったのはベビーオイル。「こんなものもあるんですか?」と聞くと、「ポリトラックで調教すると、そのクズが体に付着するみたいなんです。それを除去するのにベビーオイルがいいみたいで……」。ニーズがあれば即対応する。それでどんどん扱う商品が増えてきたんだろうと思います。

 もともと、渡辺さんの祖父母が府中の東京競馬場で厩務員さんを相手にした食堂をやっていたのがきっかけだったそう。父もサラリーマンをしていましたが、日曜日はその食堂を手伝い、そのうち、馬のキーホルダーなどを食堂の一角で販売するようになったことが始まりのようです。

「僕が3歳の時に美浦トレセンが開場して、東京や中山から民族大移動でこの美浦に移ってきたわけですね。僕は物心ついた時は、もう美浦でした」。

 学校も……。
(続きは7月9日に更新)

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