トレセン取材をしていると、関係者と競馬談議に花が咲くことが多い。今週はもちろん、宝塚記念での名手の逃げについて。四位師は「馬を力ませずに、ニュートラルな状態で走らせる」なら、「豊さんの逃げはまずペースを落とさない。後ろに来ればペースを上げるぞ、と思わせる。そこが絶妙」は千田師だった。ともに凄さを知る元騎手で、苦い思い出とともに解説を頂戴した。
数々の名馬とともに、体内時計の正確さ、勝ち方のパターンが染みついているのだろう。そして、「あれだけ掛かった馬を2回目で折り合える懐の広さが一番凄いよね」が共通点だった。横山典に「芸術点の高い、魅せる騎乗をすることもプロジョッキーの腕のひとつ」と聞いたが、そんなうならせる騎乗をする騎手がどんどん出てきてほしい。
【東京11R・府中牝馬S】 ここは岩田望のラヴァンダが◎だ。
3歳時のフローラSでの②着に秋華賞④着。そして、2走前の阪神牝馬Sで鼻、鼻差③着がある実力ホースの一頭。「コンスタントに走れないからいまだに条件馬」と、中村師は自己条件で②着と勝ち切れなかった前走のシドニーTを苦笑いしつつ振り返ったが、今回は3勝クラスの身でオープン馬同等の54キロを課された。やはり、ハンデキャッパーもその力を認めている証拠だろう。
「コーナーを回ってくる時にモタモタする。鞍上は〝左回りの方がマシです〟と言うし、実際にオークスでも二千四百メートルが長かったけど。4角を持ったままで回ってこれた」と分析する。鞍上が乗り続け、格上挑戦するから舞台は合うはずだ。
坂路4F51秒6、1F11秒9と快活に動けた最終追いに張りのいい馬体からも状態面は間違いなくいい。岩田望の好エスコートを期待したい。
【阪神11R・しらさぎS】 西の重賞はデビットバローズから。去勢効果で②①着と結果を出した3、2走前と同じ右回りに戻って走れることがいい。担当の上村助手も「馬は元気。去勢した効果か、暑くなってヘバることもないから、いい走りを期待している」だ。馬混みで走れる今ならマイル重賞でも力は足りる。
1974年、愛知県で生を受ける。名前の通りのザ・長男。
大阪での学生時代、暇な週末は競馬場に通い、アルバイトをきっかけに日刊ゲンダイへ。栗東トレセンデビューは忘れもしない99年3月24日。毎日杯の週で、初めて取材した馬は連勝中だったテイエムオペラオー。以降、同馬に魅せられ、1勝の難しさ、負けに不思議の負けなしと、学ばせてもらったことは実に多い。
グリーンチャンネルでパドック解説をさせていただいているが、パドック党であり、大の馬体好き。返し馬をワンセットで見たい派。現場、TV観戦でもパドックが見られなかったレースの馬券は買わないと決めている。
余談だが、HTB「水曜どうでしょう」の大ファン。こんこんと湧き出る清水のように名言を連発する大泉洋氏を尊敬してやまない。もちろん、“藩士”ゆえにDVD全30巻を所持。