天皇賞・春はゴール前大激戦。長い写真判定の末、勝ったのはクロワデュノールだった。大阪杯に続く春GⅠ連勝。父キタサンブラックも17年に大阪杯→天皇賞・春を制しており、父子2代での春古馬中長距離GⅠ連勝となった。
終わってみれば大阪杯を完勝したクロワが現役最強の力を示した一戦。ただ、戦前は不安もあった。キタサンブラック産駒はこれまで三千㍍超のレースで〈0026〉と結果が出ていなかった点だ。加えて、クロワは大阪杯が強すぎたことで、中距離馬のイメージがより鮮明になっていた。
しかし、レースでは好位から運び、直線は早めに抜け出し。さすがに最後は差を詰められたものの、しっかり押し切った。決して距離はベストではなかっただろうが、前走時の回顧コラムにも書いたように、今の充実ぶりが表れている。
②着ヴェルテンベルクもキタサンブラック産駒。こちらはサンデーサイレンスの3×3のクロスを持っており、より瞬発力が強化された配合だ。前走は東京が舞台で、長距離戦としては決め手勝負になりやすいダイヤモンドS。メンバー最速タイの34秒4で④着の末脚を見せていた。天皇賞・春も長距離戦としては、瞬発力勝負になりやすい舞台。4角12番手からメンバー最速の上がり3F34秒3でクロワと僅差の勝負に持ち込んだ。レースの質と配合がかみ合った好走だった。
このワン・ツーで戦前の懸念は完全に払拭されたと言ってもいいだろう。これで思い出したのがディープインパクト産駒だ。デビューからしばらくは長距離GⅠで苦戦し、「鬼門」といわれていた時期もあった。それが、最終的には天皇賞・春でも産駒は4勝を挙げるなど、逆に得意舞台へと変化した。
キタサンは自身が長距離実績馬であることに加え、血統的にプリンスリーギフト系の血を引いている点も見逃せない。この血が入ると前肢の掻き込みが強くなり、前輪駆動的な走りになりやすい傾向が出る。そのため3~4コーナーの坂を2度下る淀の長丁場はマッチするのだ。今年のワン・ツーを機に、一気に春天の特注種牡馬にのし上がって来る可能性は高いとみる。
2番人気のアドマイヤテラが③着。何度か書いているようにレイデオロ×ハーツクライの配合はスパッと切れるというよりも長くいい脚を使う配合。その点で今回は位置取りがやや後ろになりすぎたか。残り3F付近から長くいい脚を使っているものの、最後は後ろからきたヴェルテンベルクに差されたように決め手の差がもろに出てしまった。
④着アクアヴァーナルはエピファネイア産駒。同産駒で母の父ディープインパクトの配合はアリストテレスなどと同じで長距離戦の適性の高い配合。牝馬ながらこの内容は評価していい。
◎ヘデントールは⑤着。思ったより行き脚がつかず昨年よりも追走に苦労していたあたり、状態がまだ本物ではなかったのか。キングカメハメハ系×ステイゴールドと器用さを武器に持ち前のスタミナで勝負するタイプだけに、決め手勝負になるとやや分が悪い。それでもラストはじりじりと伸びて掲示板を確保と昨年の覇者の地力は示した。
ユニコーンSも同一種牡馬のワン・ツー ルヴァンスレーヴ産駒重賞初制覇
土曜に京都で行われたユニコーンSはルヴァンスレーヴ産駒のワン・ツー決着。産駒はこれが重賞初制覇となった。
ルヴァンスレーヴ産駒はダート中距離に良績が集中しており、ロベルト系のパワーとスタミナをよく伝えている。以前は東京マイルで行われていたユニコーンSだが、3歳ダート3冠路線の整備とともに京都の千九に舞台を移して今年が3回目。よりスタミナが重要になっているのが分かる。①②着は首差だったが、③着には4馬身差。この2頭の強さが際立った印象だ。
勝ったシルバーレシオは祖母ビーポジティブが地方交流のクイーン賞勝ち馬。TCK女王盃やエンプレス杯で②着するなど、ダートの中距離で活躍しており、この舞台に適した配合だった。
一方、②着メルカントゥールは半兄がカペラSなどを制したコパノキッキングとややスピード色が強い配合で、最後で差されたのはその差か。ただ、これは勝ち馬の決め手が抜けていただけで、勝ちに等しい②着。今後もダートの中距離路線ではルヴァンスレーヴの血は無視できない存在になってきそう。
ワールズエンドは京王杯SCで好走率が高いロードカナロア産駒
土曜東京の京王杯スプリングCは3番人気のワールズエンドが勝ったものの、②着が14番人気のセフィロで馬単は3万1360円と波乱だった。
勝ったワールズエンドは祖母がシンハリーズで、オークス馬のシンハライトを出した血筋。母リラヴァティも16年のマーメイドS勝ち馬。中距離型の母系に父ロードカナロアでスピード能力をアップさせた配合だ。今回はマイペースで逃げての粘り込み。自身の適性を最大限に引き出した。
ちなみに、カナロア産駒はこのレースと相性がいい。20年は①~③着を独占。23、24年に①②着だったレッドモンレーヴなどがおり、今後も真っ先にチェックした血統だ。
波乱の立役者となったセフィロはイスラボニータ産駒だが、サンデーサイレンスの3×3のクロスを内包する瞬発力型。今回も中団からしっかり脚を伸ばしてきた。前走の愛知杯も13番人気で③着。6歳牝馬で重賞での連続好走はまさに晩成型のハーツクライの血の影響が大きく、本格化で力を付けてきたとみるのが正解かもしれない。



























