土曜中山12Rに出走するユキノロイヤルの前走追い切り直前、厩舎の番頭格である小野調教助手からスマホに着信が。
「お忙しいところ恐縮でなのですが、ユキノロイヤルの追い切りの動画を撮ってもらえませんか」
ちょうど、仕事の合間でもあったので快諾して撮影、すぐに送信。
すると謝意とともに、撮影依頼をした理由を返信で明らかにしてくれました。
「ありがとうございます! オーナーが体調を崩されたようで……。いい動きを見てもらって少しでも元気を出していただきたくて動画を頼んだんです。お手数おかけしました」
小野さんの優しく、こまやかな心遣いが垣間見えた瞬間でした。
レースはというと、7カ月半ぶりの実戦に加えて不利があったにもかかわらず、⑤着と健闘。今後に大いに期待できる走りを見せてくれました。
乗りかかった船ではありませんが、今回の気配も気になって小野さんに連絡をすると、すぐにアンサーをくれました。
「前走時、時間をかけてしっかりと乗り込んだので基礎体力もついたんでしょうね。レース後、少し楽をさせたこともあってこの中間は元気いっぱいで。エグいくらい暴れる元気があるんです(苦笑)。なので、4日のウッドの追い切りでもゴール過ぎまでしっかりと追いました。時計は70―40(5F70秒1―38秒7)でも、数字以上に負荷がかかっていますよ。その時点でほぼ仕上がったので、きょう(9日)は坂路で整える程度で十分です」
流れるように教えてくれました。
そして、最後には「やれることはやりました。“これで負けたらどうしよう”ってぐらいに。ええ、本命にしてもらっても大丈夫です(笑)」と力強く後押しも。
ならば、ここは素直に◎を進呈、あとは好結果を待つのみです。
「ベガはベガでもホクトベガ!」
93年エリザベス女王杯でホクトベガが①着でゴールに飛び込んだ瞬間の実況です。当時、浪人生でフラフラしていた自分にとっては衝撃的であり、今でも予想の根底に根付いています。
ベガはバリバリの良血馬で鞍上が武豊。牝馬3冠にリーチをかけていました。対して、ホクトベガは父がダート血統でベテランの加藤和を配したいぶし銀のコンビ。春2冠でベガに大きく後塵を拝したホクトベガに勝ち目はなさそうでしたが、見事にリベンジ。この“逆転劇”こそが競馬の醍醐味ではないでしょうか。
かつて作家の寺山修司氏は「競馬が人生の比喩なのではない、人生が競馬の比喩なのである」と評したそう。馬も人も生きている間はいつかの大逆転を狙っています。雑草でもエリートを超えるチャンスはあるはずと、きょうもトレセンを奔走しています。