データ室・武田記者のラップと馬場差を徹底分析する

一昨年との比較で分かる安田記念の優秀さ

公開日:2024年6月5日 14:00 更新日:2024年6月5日 14:00

 天気の読みが難しい季節になってきた。

 先週金曜、関東は激しい雨。それでも、土曜から日曜にかけて降らなければ、芝は良馬場だと考えていた。

 それはもちろん、東京の水はけの良さ、気温などを考慮してのこと。それどころか、土曜は最初の芝のレース(4R)を前に良に回復。「さすが東京だな」と思っていたのだが……。

 日曜朝、起きてみると芝は稍重にワンランクダウン。夜中に雨が降っていたようで、しかもいったん回復したと思ったのだが、8Rの頃はかなり激しい雨に(発表は小雨のまま)。そういう状況を思えば、安田記念(写真)の千六1分32秒3は決して悪い時計ではない。いや、むしろ評価すべきか。

 5F目だけ12秒0と少しラップが落ちたが、その後は11秒3―11秒2―11秒4。ソングラインが勝った一昨年が、4、5F目が12秒0となり、ラストは11秒2―11秒0―11秒4。これに遜色ない数字だからだ。

 勝ったロマンチックウォリアーは香港から来た“本物”。本来、マイルは少し短く、二千がベスト。欧州産というところも含めて、過去に来日した香港馬とは一線を画している。

 オーナーは結構、海外志向が強いと聞く。昨秋は豪州に遠征。コックスプレートを制した。今年はベストディスタンスである天皇賞に来てくれたらうれしいのだが……。

 ナミュールは1度使って激変の②着。相変わらずゲートはそんなに良くないが、今回はこの馬場でよく追い込んだ。

 ③着ソウルラッシュ、④着ガイアフォースは今回も惜しい競馬。だが、GⅠになると勝ち切れないのは、やや武器が足りないということか。

 ラストがオール11秒台の安田記念とは異なり、オール12秒台でも好記録なのが9RホンコンジョッキークラブT。小雨の中、二千メートル1分58秒7は2勝クラスとしてはかなり優秀だ。

 勝ったグランドカリナンはブリンカーを外しても先行できるようになって③①着。切れ味勝負では出番がないだろうが、福島3週目の3勝クラス芝二千、阿武隈Sに出走なら狙えそう。

 そのひとレース前、8R3歳上1勝クラスのダート千六は3歳馬ターコイズフリンジが逃げ切り。当時は重馬場とはいえ、5F59秒0で飛ばして1分34秒6は1勝クラスの記録ではない。②着が5馬身も離されるわけである。

 ここまで芝二千①着、芝二千二百メートル④着、ダート千八③着、ダート千六①着という成績。陣営も適条件をまだ探っている段階ということか。

 母の父がエーピーインディ系のマリブムーンだから、一本調子で押し切る競馬が最も合うイメージ。ローカルの千七もOKだと思う。

武田昌已

月~金は麻雀、土日はウインズだった学生生活を経て、入社後は編集一筋25年超。2015年春は何と9週連続重賞的中の快記録も達成し、2016年は春東京でGⅠ4連勝も。馬場の傾向、ラップの分析に定評がある。毎週、目黒貴子さんとその週の重賞解説の動画も公開中。

著者詳細、記事一覧へ

最新記事一覧

  • アクセスランキング
  • 週間