【安田記念】現実味を帯びてきたソングライン世界のマイル王の座
公開日:2023年6月5日 14:00 更新日:2023年6月5日 14:00
今回は外から牡馬をなで斬り
末脚一閃――。安田記念はソングラインが、最後は手綱を緩めるほど圧巻の走りで連覇を達成。ヴィクトリアマイルからのGⅠ2連勝を飾った。
10頭のGⅠ馬が出走して春のマイル王決定戦にふさわしい豪華版。レースは前半3~5Fが34秒2―46秒0―57秒6と、緩みのない引き締まった流れになった。
勝ったソングラインは大外枠ながらも前を壁に置いて11番手追走。直線も抜群の反応で一気に加速すると、上がり3F33秒1の末脚を繰り出す。
先に抜け出しかかった②着セリフォスを大外から並ぶ間もなく、差し切って最後は流したほど。馬場が回復して、内枠や内側が有利な傾向を加味すれば、1馬身4分の1の着差以上の強さだった。勝ち時計の1分31秒4も歴代4番目に速い優秀なもの。
前走勝ちから中2週でも守りに入らず、攻めたハードな調整を貫いた。1週前に続き、当週も併せ馬を敢行して、直前の金曜にもウッドで4F59秒0、1F12秒8。運動量をかなり増やしてきた。
馬もそれに応えて馬体は膨み、パフォーマンスを上げてきた。
勝った前年はまだ弱さを抱え、手控えていた段階。5歳春を迎えて「心身ともに成長。きょうもパドックからどっしりとしていました」と林師もたくましくなった愛馬に目を細める。
この相手にこの走り。となれば、やはり秋は優先出走権を得た米国のBCマイル挑戦だろう。昨年はノドの疾患で遠征を断念した経緯があるだけに、なおさらだ。
海外はサウジで2度経験して、精神的にもタフになっている。師も「海外遠征の適性はあると思っています」と手応えを掴んでいる。馬も陣営も着実に経験値を積んできているのは頼もしい。
ましてや、今年のBCマイルは西海岸のサンタアニタパーク競馬場で行われる。遠征のしやすさは東海岸と比べれば格段に違う。
現役生活の残りは長くはないが、馬が完成した今なら秋の大輪を期待したくなる。そんな走りだった。