新装京都で初の障害レース・京都ハイジャンプの見どころを紹介。制す人馬は──。

公開日:2023年5月10日 14:00 更新日:2023年5月10日 21:34

1070日ぶりの京都・障害レース

 4月22日、京都競馬場は902日ぶりに新装オープンした。以降、大勢の方が来場し、当日の現金発売入場券(200円)が開始となった先週末は土曜日にも関わらず、2万5511名の入場人員を集め、盛況だった。

 グランドオープンから3週間が経過した京都だが、実は、まだ使われてれていないレースレイアウトがある。それが障害コースだ。

 今週、土曜8Rに組まれるJ・GⅡの京都ハイジャンプが新装京都・障害コースのこけら落としで、改装前の2020年春の未勝利戦から約3年、1070日ぶりのハードルレースが行われることになる。

 あらためて、コースを紹介しよう。改装前と変わらず、芝、ダートコースの内側にあり、中央の池を囲むようなレイアウト。平地同様の右回り。向正面から内、外回りと分かれ、内回りが重賞専用の大障害コースで、ここには高さ0・8m、長さ15・9mの台型のバンケット障害が待ち受ける。この第9号障害を上って、下りるまでが約3完歩であることから通称〝3段跳び〟と呼ばれ、この京都HJに京都ジャンプSと、年に2回のみ使用される淀特有の障害だ。

「どの馬も上る分には上手。でも、下りる際に気を使う馬は結構いますね。栗東トレセンでは障害練習コースが新しくなり、京都により似たバンケット障害になりました。今までは短かった助走距離が改修で3倍近くとれるようになり、より実戦に近い速度で練習できるようにもなっているんですよ」

 京都HJで10つ目の障害となるバンケットを解説してくれたのは障害65勝の難波。メイショウアツイタとのコンビでハイジャンプに挑む。

京都HJは18もの障害を飛越

 この障害重賞は、コースを約2周半と回る3930㍍。4000㍍を超す中山グランドJ、中山大障害より若干短いが、その間に前記バンケットを含み、18もの障害を飛越する。

 いけ垣が12、竹柵、水豪が各2つに加えてバンケットで、J・GⅠよりも多い障害数。スタンド前、向正面と3つの障害を連続してスピードに乗せつつ飛越するコース設定だ。

 ベテラン熊沢はレースのポイントをこう話す。データのある86年以降、京都障害レース10101戦で79勝。最も勝っているジョッキーでもある。

「馬の能力が如実に出やすく、スピードを生かせるコース。スタンド前、向正面の3つの連続障害を計算しつつ、速くなりすぎず、セーブできるかが難しいところ。でも、ボクは好きなコースかな」

 緩まない展開で人馬の呼吸、リズムが重要となるコースなのだ。

「全面の芝を張替え、走りやすい」(北沢)

 新装京都の障害コースには、このジャンプ重賞に出走する6頭の人馬が先週、スクーリングを行った。うち、改装前に行われた最後の京都障害重賞(20年京都HJ・スズカプレスト)を制した北沢が馬場の感触を教えてくれた。

「コースは野芝のみ。以前は雨が降ると悪くなりがちだったけど、全面の芝を張替えていただいたことで非常に走りやすい馬場だったね。いけ垣障害も新しく植え替えてもらった。いけ垣は時間が立つと幹が太くなり、飛越の際に痛かったんだよね(苦笑)。今はそれがない。うん、プレストの時は〝新装の時まで乗っていられるかな〟と思っていたけど、幸いにもまだ現役。馬場造園課の方々には、いいコースをつくってもらえて感謝しかない。いいレースを見せないと」

 愛馬ポルタフォリオで制すと障害通算160勝目にもなる。

 京都での初障害は、2年目となる小牧加。先週、デビュー2年目にして障害16勝目を挙げ、今週より平場では減量が△→☆マークの1㌔減に。近走は9戦6勝と好調で、「ビーマイオーシャンは前走が昇級戦で③着。調子はいいですし、前日入りしてスクーリングさせます。僕自身も京都は楽しみです」を胸を膨らませていた。

 先週、京都へ行っていない馬は前日入りでバンケットをスクーリングさせるのが常だ。

「一頭、一頭の飛越技術を見ていただければ」(熊沢)

 他にも、ザメイダン=上野、セデックカズマ=平沢に中山GJの③着馬ダイシンクローバー=森一、テリオスルイ=中村、トライフォーリアル=五十嵐雄、ホッコーハナミチ=黒岩、リアム=簑島の11頭の人馬で争われる。

「勝ち負けもそうだけど、そことは別に一頭、一頭に飛越技術がある。騎手の見せどころを新しいスタンドからじっくりと見ていただければ。これが障害レースの醍醐味だからね」と熊沢が締めてくれた。

 現在、休養中で復帰を目指してリハビリ中の、白浜、高田の関西勢に、鈴木慶、高野和らのいい刺激となる好レースを期待したいが、もちろん、全馬が初の京都コース。緊張感のある中でのレースにもなる。まずは、全人馬の完走を願う。そして、ゴール後にはファンの皆様からの大きな拍手をお願いしたい。

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