【桜花賞】キタウイングの杉原誠人。初クラシック騎乗で最近のトレンド〝初GⅠ制覇〟なるか(ネットオリジナル)

公開日:2023年4月6日 14:00 更新日:2023年4月6日 14:34

デビュー16年目で初の桜花賞騎乗

 昨年のGⅠシリーズでトレンドとなったのが〝初GⅠ〟だった。

 高松宮記念での涙の丸田(ナランフレグ)に始まり、天皇賞・春は横山和がタイトルホルダーでガッツポーズ。秋にはスプリンターズSで荻野極がジャンダルムを栄冠へと導き、直後の秋華賞は坂井がスタニングローズをGⅠウイナーへと押し上げた。ダートGⅠではチャンピオンズC。石川でジュンライトボルトと、人馬のGⅠウイナーが続々と誕生した年でもあった。

 明けて2023年。フェブラリーSでは、〝フレッシュ〟な坂井がレモンポップで勝利し、2週前の高松宮記念では5年目団野がファストフォースで〝初GⅠ〟を飾った。桜の舞台でも──。

 騎手が桜花賞で初GⅠVとなったのは99年プリモディーネの福永祐一(現調教師)が著名。デビュー5年目のことだった。

 ここはクラシック初騎乗となる杉原誠人にスポットを当ててみたい。デビュー13年目の30歳はキタウイングとのコンビで挑む。

 同馬はメンバー唯一の重賞2勝馬でもある。昨夏の新潟2歳S(戸崎)を制し、年明けのフェアリーSでも最内の狭いスペースから突き抜けた。そのフェアリーSは、杉原自身も2度目の重賞制覇。昨夏のアイビスSD(ビリーバー)に続くもので、人馬ともにふたつ目の重賞勝ちとなった。

「上がる余地を残して伸びた」前哨戦

 トライアルのチューリップ賞は0秒3差の⑦着。好発からこれまで同様、末脚を生かす形で控えて、中団後ろの13番手インに構えたが、流れは向かず。上がり46秒5─34秒1の展開。逃げたモズメイメイが勝つ競馬だった。

「これまで教え込んできたように、最後はしっかりと脚を使えています。もう一段階、上がる余地を残しながら、狭くなりながらもしっかりと伸びてくれました」

 悪くないステップを踏んで本番を迎える。

 杉原のGⅠ騎乗は過去3度。いずれも小島茂厩舎の管理馬だった。16年エリザベス女王杯のプロレタリアト(⑭着)、同馬では翌年の天皇賞・春にも出走(⑯着)した。21年の高松宮記念にはアストラエンブレム(⑬着)。厩舎とは4度目のGⅠ挑戦ともなる。

「小島先生のお陰で栗東に来ることができ、調教をつけることもできました。本当に感謝しています。初めてのクラシック騎乗ですが、この馬のためにも、小島先生のためもにいい競馬をしたい」

 真っ直ぐな大きな瞳でこうレースへの意欲を話す。馬は前走に続いて栗東に居残り調整を重ねているから、1週前、今週と美浦から駆けつけた。1週前は坂路4F52秒9、ラスト12秒2をマーク。水曜の最終追いでも手綱を取り、Cウッドで6F82秒9、3F38秒6─11秒9をマーク。ストライドがよく伸びたいい追い切りができていた。

「前走からもう一段階、ステップアップできました。今まで体が緩く、それでもいいものを発揮してくれていましたが、今回はボクが乗った中で成長を感じる動き。ホント、いいんですよ。やれませんか!?」

「ボク自身、楽しみでしかありません」

 杉原といえば、今はフリー騎手だが、元の所属は名門・藤沢和厩舎。

 グランアレグリアを始め、スピルバーグ、レイデオロ、サトノアレスにソウルスターリングらのGⅠ馬を始め、数々の重賞ホースの調教を日々、つけてきた。走る馬の背中は知っている。好感触の追い切りを終え、どんな初桜花賞となるのか。

「キタウイングは実績上位ですが、いつも人気がないんですよ」と杉原は苦笑いしながら、同馬の長所をこう挙げた。

「狭いところを抜けてこれる、ヒルまない気持ちがあります。そこは強み。人気馬を負かし、この馬が一番だと思える競馬をしたいですね。ボク自身、楽しみでしかありません」

 舞台は阪神芝のBコース。476・3㍍の直線でキタウイングの馬名のとおり〝翼〟が生えた伸びを見せれば、13年目の春での〝サクラサク〟の大金星となるか。

 レース後に発するそのコメントも含め、桜花賞を存分に楽しめたかも聞いてみたい。

最新記事一覧

  • アクセスランキング
  • 週間