今年に入ってから騎手の制裁が多発している理由とは(ネットオリジナル)

公開日:2023年1月18日 14:00 更新日:2023年1月18日 14:00

 ジョッキーにとっては戦々恐々!?

 今年は騎手への制裁が多発している。制裁で真っ先に思い浮かぶのが騎乗停止。先日もマーカンド、イーガンが他馬の進路を妨害したことにより騎乗停止の処分を受けた。

 だが、制裁を受ける騎手が増えているのは、それ以外のルール変更によるもの。ムチの使用に関する禁止事項の変更だ。

 レースにおけるステッキの使用方法はレギュレーションが決まっており、挙げていくと、「馬がケガをするほど」「肩より上方に腕を上げて振り下ろすこと」「着順が決着した後」「入線後」「頭部、及びその付近への使用」「ひ腹へ」「正当な理由がないのに、鞍より前方への使用(手綱から手を離さずジュン手で使用する場合を除く)」が禁止。

 ここに加え、ムチの連続使用の項目もある。「2完歩あけることなく、ムチを連続して使用すること」だが、これは昨年までは10回まではセーフだったのが、今年から「連続5回まで」と半減。世界基準にならった形で改正された。簡単にいうと、5発、2完歩あけて再度、5発はセーフ。6連発以上のステッキ連打で対象で、ここに該当する騎手が激増している。

 実際に、連打での制裁数は急増した。1月5日の初日は中山2回、中京4回。重複したイーガン(2度目は過怠金1万円)を含め、計5騎手が。3日間競馬では、7日の土曜が7つの制裁数。日曜8日は6、月曜の9日は4だった。

 先週から冬の小倉が始まり、3場開催に。先週はその小倉で多かった。土曜は中山、中京で制裁ゼロも小倉で3。日曜は中山が4で中京は2。対して、小倉は何と9もの数だった。

 今年の41件の制裁で調べてみると、首や鼻差など、接戦の際が非常に多く出ており、勝ち負けを争ったケースは、7日の中山新春ジャンプSに中京3、9R。8日の中山3、10R。先週日曜はサンライズSに小倉6、8Rに玄海特別がそう。

〝勝たせたい〟〝負けたくない〟という、この騎手心理が馬を鼓舞するステッキ連打につながったことは容易に想像がつく。小回りでよりタイト。ゴール前の接戦が多い小倉で頻発したことも。

 ある騎手は「見せムチで一拍あけるのは容易ですが、2完歩が難しさもあります」と話す。

 ただし、騎手自身、馬への安全を守る意味でのルール改正でもある。騎手はJRAより免許を発行されて騎乗する。

 名手・武豊は、「制裁は結構、多いですよね(苦笑)。追うリズムにもよるし、染みついた癖が抜けない感じかな。ただ、フランスは全体で5回まで。海外はもっと厳しい国もある。ルールだからみんな対応し、慣れていくしかないですよね」と話した。

 ちなみに、制裁は初回が戒告。2回目から過怠金が発生して、2回目1万円→3→5→7→10万円。7度目以降の制裁は年末まで10万円の過怠金を払い続けることになるから、騎乗しても制裁で赤字というケースも出てこよう。先週まででは松岡、古川吉、M・デムーロが3万。イーガン、川須、藤岡康が1万を徴収された。

 今後、直線の攻防は変わってくる。同時に〝激しいたたき合い〟という表現も死語となるかもしれない。

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