【有馬記念】天才イクイノックス 東京、中山のGⅠ制覇でもはや隙なし
公開日:2022年12月26日 14:00 更新日:2022年12月26日 14:00
次の期待はもちろん世界
新時代の幕開けを告げるにふさわしい、圧巻の走りだった。GⅠ馬7頭が集結した今年の有馬記念。“天才”イクイノックスが年長馬を子ども扱いにして、史上最少キャリアでグランプリ馬の王位についた。
課題のスタートを決めて、ダッシュ良く、すぐ先団に取りつく勢い。それをルメールが手綱を絞り、中団8番手で収まった。序盤から完璧な立ち回りで、終始、手応えは十分だ。
残り4F過ぎからジワッと進出。他馬の鞍上が必死に手を動かしているのに対し、1頭だけ次元が違うかのように馬なりでかわしていく。4角先頭の勢いから直線で仕掛けられると、アッという間に後続を突き放した。勝負どころからはこの馬の独壇場だった。
②着とは2馬身半差。それ以上の力の差を強く印象づけたが、過去20年間を見ても、この着差以上の勝利は4例のみ。03年シンボリクリスエス、06年ディープインパクト、13年オルフェーヴル、19年リスグラシューとすべて歴史的な名馬の引退レースである。それくらいの強烈なインパクトを3歳暮れ、それも完成手前のデビュー6戦目で成し遂げたのは凄い。
直線の長い東京だった天皇賞・秋での走りに加え、中山でも操作性、機動力、コーナーでの加速、さらに一瞬の瞬発力と、すべての面で秀でているのだから、ウイークポイントが見当たらない。来年はこの馬中心で回るのは必然である。
次なるターゲットは国内なら大阪杯だろうが、やはり3月のドバイ、4月の香港あたりの海外遠征か。木村厩舎は今年はオーソリティ、ジオグリフが遠征して①③⑥着と積極的な参戦を試みている。もちろん、体調や体質面もあるだけに流動的だろう。思い切って長期間で春の欧州遠征、さらには秋の凱旋門賞も見据えてほしい。
最短のステップでここまで上り詰めた新時代のスター。来秋の凱旋門賞で日本の悲願に向けて、夢の広がる勝利になったのは間違いない。