あの馬は今こうしている

2018年北九州記念覇者アレスバローズ

公開日:2026年7月4日 17:00 更新日:2026年7月10日 10:56

熊本・本田土寿牧場に繋養

 ディープインパクトを父に持つアレスバローズは4歳となった2016年、距離を千二に短縮すると、現1勝クラスと2勝クラスを連勝。着実にクラスを上げて5歳の暮れにオープン入り。6歳になってCBC賞で初重賞タイトルをモノにすると、返す刀で続く北九州記念で重賞連勝を決めた。前走から2キロ増の斤量もなんのそので、アグネスワールドが持つ日本レコードに0秒1差の好タイムだ。遅咲きのスプリンターは19年に引退。今どうしているのか。

 引退後は北海道の優駿スタリオンステーションで種牡馬になったが、縁あって熊本に渡った。現在の所属は、熊本空港から車で5分ほどの場所にある本田土寿牧場だ。本田さんに話を聞いた。

「ウチに移動してきたのは、21年です。アレスのオーナーの猪熊(広次)さんに『九州には、ディープ系の種牡馬がいませんから、いかがですか』というお話をいただきましてね。『ぜひとも』と二つ返事でした。日本軽種馬協会の種馬場が鹿児島にありまして、そこに1年ほどいて、ウチにやってきたんです」

 競走馬として本格化する前のアレスは入れ込みやすい気性に出世を妨げられたが、種馬となった今はどうか。

「種馬ですから、多少はやんちゃなところもありますが、それほど手を焼くことはありません。種付けのときは、てこずることなく、一発でバシッと決めてくれますけん、いい種馬です。今年は17頭に種付けし、生まれた当歳は7頭です」

 先週からスタートした小倉でおなじみの九州産限定の新馬戦で勝ったのは土日とも本田さんの生産馬。日曜の千二では11頭中6頭が本田さんの生産で、勝ったトシミチはアレス産駒だった。そう、九州馬産界では知られた存在なのだ。熊本産馬として初めて平地重賞を勝ったヨカヨカ(21年北九州記念)や九州産馬初のJ・GⅠをゲットしたイロゴトシ(23、24年中山グランドJ)を生産したのも本田さんで、コアな競馬ファンならおなじみだろう。

 ここにきての躍進の秘密がある。

「4年前に育成場の『高森ヒルズ』を開場しました。標高830メートルで自然の起伏がありますけん、早い時期から放牧地を走り回ったり、坂路を駆け上がったりすれば、自然と心肺機能が鍛えられるんやなかろうかと」

 23年の当歳馬の育成から始まって、その1期生からエイヨーアメジストが九州産の新馬戦を9馬身差圧勝し、アッシュアールが交流重賞たんぽぽ賞を制覇した。

「標高が500メートルを超えると、馬も高地トレーニングの効果が得られるらしいけんね」と笑顔だ。第2、第3のヨカヨカやイロゴトシを輩出できるように頑張っているという。

 アレスはどちらにいるのか?

「高森ヒルズは繁殖牝馬と当歳馬、育成馬で、アレスやアッシュアール、コパノチャーリーなどの種馬は本場にいます。3頭とも元気ですよ。3頭の種馬と37頭の繁殖牝馬で第2、第3のヨカヨカやイロゴトシを輩出できるようにコツコツやりようとです」

 自らユンボを操作して放牧地を開拓したり、厩舎を整備したりしているという。開拓精神旺盛な姿は、今は亡きマイネル軍団の総帥・岡田繁幸氏とダブる。本田さんの生産馬が旋風を巻き起こす日も近いだろう。

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