【アルゼンチン共和国杯】7歳騸馬ミステリーウェイ&5年目騎手・松本大輝が名コンビ結成の2連勝を決めた舞台裏

公開日:2025年11月11日 16:05 更新日:2025年11月11日 16:05

「背が高いのに上手に体を畳んで乗る。馬乗りとしても人間的にも丁寧なイメージがあった」(小林調教師)

 先週のアルゼンチン共和国杯は〝初〟が並んだ。7歳ミステリーウェイが逃げ切ったわけだが、同馬は初重賞挑戦での初タイトルゲットとなり、同GⅡでは7歳、騸馬の勝利も初めて。そして、華麗なエスコートをした鞍上の松本大輝もデビュー5年目での嬉しい初重賞勝ちでもあった。

 また、ミステリーを管理する小林師も、同じく開業5年目にしてのJRA平地初重賞が重なった。

 トレーナーは「ホント、松本君が見事でした。ジョッキーに尽きます」と鞍上を褒めたたえた。

 実際に、人馬のコンビは前走の札幌・丹頂Sから。気性的な難しさもあった同馬を2戦で見事、連勝して重賞タイトルへと届かせたから手が合っていたということか。ベテランホースと若手騎手の名コンビが誕生した一戦ともなった。

 松本が小林厩舎の馬に乗るのは、このミステリーで6頭目。多くはなかったが、その経緯を師に教えてもらった。

「丹頂Sの札幌滞在の際、普段の調教とセットで乗ってもらえるジョッキーを探していた」ことがきっかけだったという。

「松本君は目立つほど背が高いのに上手に体を畳んで乗る。実際に、奇麗なフォーム、バランスで乗っている印象がありました。自分自身が背が高い方なので〝凄いな〟と感じていましたし、競馬場の検量室でも後輩たちに優しく接し、アドバイスしている姿も知っていた。馬乗りとしても人間的にも丁寧なイメージがあったんですよ。ミステリーには合いそうだったので、いい機会と思ってお願いしました」

 オープン、GⅡと2連勝だから慧眼そのものだが、このような采配がハマるところも競馬の面白さであり、奥深さのひとつだろう。

松本騎手は「今は179センチ」でJRAナンバー1身長

 また、丹頂Sは小回り札幌だが、先週は広い府中のコース。ここの前半5Fで後続に1秒半近く離す大胆な逃げを打ち、4角で引き付けて上がり3Fを11秒5─11秒5─11秒6でまとめて逃げ切った。

「丹頂Sの時は〝ある程度、離して逃げてほしい〟とお願いしましたが、今回は何も言わずに一任しました。美しいラップでしたし、同じ逃げでも違う勝ち方。ジョッキーのセンスで勝たせてくれました。返し馬、ゴール後の止め際も丁寧だったので、相当に考えてくれたはずです。この勝利はジョッキーの努力の結晶だと思います」

 馬の世界でもあるが、人が成す社会でもあるのが競馬サークル。普段のたゆまぬ努力を見ている人は必ずいるということだろう。そこから生まれた2連勝でもあったか。同時に、オープン特別、GⅡと連勝した先には、さらに大きな舞台しかない。同じ東京のジャパンCか、それとも年末の大一番か。再再度、大きく逃げて勝つようならば、それこそドラマのような展開となってくる。

 余談となるが、公表で176センチ。140名いる現役JRA騎手で最も高身長の松本に聞くと、「今は179センチありますよ。以前から細く、体重は問題ないんです。今は筋力をつけるトレーニングをしています」と。やはり継続的な努力が裏にはあった。

最新記事一覧

  • アクセスランキング
  • 週間