3間開催は日曜に秋華賞トライアルのローズS、月曜に菊花賞トライアルのセントライト記念が行われた。まだ残暑も厳しい中だが、番組表を見ると秋GⅠが番近づいてきた実感が沸く。
まずは日曜阪神で行われたローズSを。ここはオークス馬のカムニャックが②着に1馬身半差と貫禄勝ち。近年はオークスから秋華賞へ直行のローテも増えておりオークス馬の参戦は16年シンハライト以来9年ぶり。ちなみにオークス馬がロースSに出走した場合は14年①②①①着と出走機会4年連続で連対中だ。
正直、今回に関しては戦前はやや不安な面もあると思っていた。というのも3代母にオークス馬ダンスパートナーがおり、母系にはサドラーズウェルズの血も入る配合。適性的には中距離以上のイメージがあったからだ。その上、春は気難しい面もみせていたから二千四百→千八百への距離短縮がネックになるかと思ったが、終わってみれば1頭だけ力の違いを見せつける結果。ブラックタイド産駒のGⅠにはキタサンブラックがいるが、キタサン同様ひと夏越しての成長が大きかったということ。今回の競馬ができるのなら本番でも期待は大きくなる。
アドマイヤマーズ産駒のテレサが②着。ここまでの逃げて3勝を挙げていたが、今回は好位からの競馬で結果を出せたことは収穫だろう。ただ、本番でも1F延びるとどうかの不安はある。父アドマイヤマーズはダイワメジャー直子のマイラータイプ。産駒も42勝のうちマイル以下で28勝。二千㍍では3勝でそれ以上となると現状連対すらないのだ。テレサは父、母ともにサドラーズウェルズ系の入る配合だけに距離はこなせるタイプだと思うが、それでも二千はギリギリではないか。
③着セナスタイルはオークス馬ヌーヴォレコルトの仔。父は凱旋門賞馬のソットサスだ。半兄には今年の小倉記念を制したイングライドアイズもおり、やや遅咲きの傾向。同馬もデビューが3歳1月だったから、これからより力をつけきそう。そんななかで今回はメンバー最速の上り34秒0で4角15番手から追い上げてきた。この脚力は十分で展開次第では本番もやれていいだろう。
月曜中山のセントライト記念は皐月賞馬のミュージアムマイルがV。東西トライアルとも春の実績馬がきっちり結果を出した。血統的にはハッピートレイルズの牝系で近親のキングストレイルもこのレースの勝ち馬。やはり東京よりも中山の方がいいタイプなのだろう。
キタサンブラック産駒のヤマニンブークリエガ②着。父キタサンブラックは15年の勝ち馬だが、産駒も22年ガイアフォース①着、23年ソールオリエンス②着とはこのレースと非常に相性がいい。晩成型の血統でもあり、ここからもうひと伸びあっていい。
③着はキズナ産駒のレッドバンデ。母フィオドラは独オークス馬で見るリーフの5×4のクロスやニジンスキーの血を持っており、スタミナ色の濃い配合。前走からの距離短縮を思えば上々の内容ではないか。距離は延びていいイメージなので菊花賞にでてきくれば面白い1頭になりそうだ。
土曜のチャレンジCはオールナットが重賞初V。母キューティゴールドはステイゴールドの半妹で、同馬はショウナンパンドラの半弟。パンドラとは4分3同血で血統構成も近い。姉は秋華賞と翌年のジャパンCも制したようにディープ産駒としてはやや完成が遅かった印象。弟も古馬になりようやく力をつけてきたか。ただ、今回の関してはモレイラが見事な騎乗をした点も大きかった。
1番人気のグランヴィノスが惜しい②着。こちらはバラードの牝系で兄姉にシュヴァルグラン、ヴィブロス、ヴィルシーナGⅠ馬が並ぶ名牝系の血筋だ。脚部不安などもあり、なかなか順調に使えなかったかったが、兄姉を見ても遅咲きの傾向のあり、本馬もようやく軌道に乗ってきた。まだまだ伸びシロも大きそうそうなだけに、いずれは重賞に手が届いていいだけのポテンシャルは持っている。
③着マイネルクリソーラはスクリーンヒーロー×ムタファーウエクでロベルト系同士の配合。シルバーホーク(グラスワンダーの父)の3×3のクロスがあり、パワーとスタミナに秀でたタイプだ。近3走①③③着と大崩れなくはしっているが、今回も阪神の二千芝で1分58秒台の決着に対応できたことからも今は本当に充実している。
先週は海外でも凱旋門賞のステップレースに日本馬2頭が参戦。ここでもブラックタイドの血が活躍した。愛チャンピオンSではソットサスの全弟のシンエンペラーが⑥着に敗れたが、プランスドランジュ賞ではブラックタイド直子のキタサンブラック産駒クロワデュノールが快勝した。
クロワデュノールは母の父がケープクロスでシーザスターズ、ゴールデンホーンと2頭の凱旋門賞馬を出しており、ブラックタイドからパワーを受け継いだキタサンブラックも不良の天皇賞秋でV。欧州の馬場にも対応できそうな下地はあったものの、今回パリロンシャンの重馬場で勝ったことが価値ありだ。タフな馬場で競馬をした分、今後のケアが重要となりそうだが、本番へ向け期待十分な走りだったことは間違いない。