亀井記者の血統ロックオン

ビッグアーサー産駒カンチェンジュンガは外枠でなくても勝ち切った点に価値あり

公開日:2025年9月9日 07:00 更新日:2025年9月9日 09:16

 阪神タイガース優勝おめでとうございます! 実は9日の観戦チケットを持っていたので、優勝が決まるのがあと1試合遅くても良かったんですが、やはり贔屓のチームが勝つのは素直にうれしいものです。

 競馬の〝阪神〟では日曜に6F重賞のセントウルSが行われた。開幕週の6F芝、当然時計が速くなるだろうと思い、前に行けて持ち時計も速いテイエムスパーダを◎を打ったが結果は④着。ただ、負けはしたもののいい粘りは見せてくれた。土曜発行のコラムにも書いた通り、父レッドスパーダ、母の父アドマイヤコジーンともに晩成傾向があっただけに、6歳牝馬でもまだ活躍が期待できそうだ。

 このスピード勝負の馬場にマッチしたのがビッグアーサー産駒。①着カンチェンジュンガ、③着トウシンマカオと出走した2頭がともに馬券圏を確保した。

 ビッグアーサー産駒は意外と差しタイプが多い。そのため外枠でスムーズに走れることが好走の条件になりやすい。実際、カンチェンジュンガの阪急杯勝ちは8枠16番。昨年、トウシンマカオがセントウルSを制したのも8枠17番だ。

 それを思えば今回カンチェンジュンガが4枠7番から道中も中団後方で馬群に包まれながら差し切った点は非常に評価していい。母の父はノヴェリストと晩成傾向のあるドイツ血統。ノーザンテーストの4×4のクロスも成長力を伝えているのだろう。本格化とみていい。

 昨年の勝ち馬トウシンマカオが③着。この馬も外枠からよく伸びているのだが、昨年の中京から阪神内回りに替わった分、差し届かなかったか(それだけに勝ち馬の決め手はより光るのだが)。ただ、衰えは全く感じさせないし、秋初戦としては上々。昨年はそのままスプリンターズSでも②着と好走した。中山6Fは前傾ラップになりやすい傾向。この①③着のビッグアーサー産駒はスプリンターズSに出てくれば要注意となりそうだ。

 ②着ママコチャはソダシの全妹でスピード勝負に強いタイプ。今回も好位から勝ちに行ってのもの。自身の競馬はできたし、今回は勝ち馬をほめるしかないだろう。

 日曜中山の紫苑Sはケリフレッドアスクが逃げ切り。前後半の3F34秒7=34秒0、5F60秒1=59秒0のスローペースで開幕週の馬場だから最後まで止まらなかった。今回は前走のマイルから距離延長、兄姉は京王杯2歳S勝ちのファンタジスト、北九州記念勝ちのボンボヤージなどスピードタイプが多いのだが、父がドゥラメンテ産駒に替わったことで距離も克服できたということではないか。ただし、オークスの感じを見る限り今回の二千ぐらいまでが合うタイプだと思う。

 ②着はエフフォーリアの全妹のジョスラン。中団からラストは33秒6とよく伸びたが、今回の展開、馬場ではこれが精いっぱいか。ただ、牝馬で兄よりも切れる印象。ベストは直線の長いコース。秋華賞に出走して切れば今回と同じ直線が短いコースだけに展開がカギとなる。

 1番人気のリンクスティップは⑧着。中団追走も直線は伸び切れなかった印象。それでも上がり3Fは33秒9。実は33秒台の上りを使ったのが今回が初めて。母ダンスウィズキトゥンはサドラーズウェルズの3×4をもつ欧州色の強い配合。切れるというよりタフな馬場向きで、今回のスローのヨーイドンで力を出し切れなかったのだろう。

札幌2歳S②着ジーネキングがみせたコントレイル産駒の堅実さ

 中山では土曜にも京王杯オータムHが行われた。前日の雨の影響がどの程度まで残るががポイントとなると思っていたが、勝ち時計が1分31秒3なら上々。開幕週らしい良好な状態に近かったということ。

 ホウオウラスカーズが3F33秒1の決め手で差し切り。この馬場に加え、1枠、52㌔の軽ハンデと全ての条件が吉と出た。母ビーコンターンはシンハリーズの半妹。父ディープインパクトだから16年オークス馬シンハライトと4分3同血となる。母の父はシャマーダルとストームキャット系で父とは相性のいい血。ディープらしい瞬発力に優れた配合が見事にはまった。

 ②着ドロップオブライトは中京2歳Sを制したキャンディードと同じトーセンラー産駒。そこでも書いたが、意外とトーセンラー産駒はスピード勝負に強い血。ドロップは母の父もフレンチデピュティだからなおさら。こちらも条件がマッチした。

 1番人気で⑪着のエリカエクスプレスはちょっとマイルが忙しいかの印象。確かにマイル重賞のフェアリーSを勝っているが、父エピファネイアで母の父ガリレオ。サドラーズウェルズの4×3のクロスを持つから配合的には中距離寄り。今なら二千ぐらいの方が合うのではないだろうか。

 最後に札幌2歳Sを。勝ったショウナンガルフはハービンジャー産駒。母ミカリーニョの兄弟にはミスエルテ、ミアネーロ、ショウナンザナドゥなど早い時期に重賞勝ちを挙げた馬がいる仕上がり早の母系。同馬もこれでデビュー2連勝だ。完成度の違いがものをいったか。

 ただし、注目したいのは②着のジーネキング。10番人気だったがハナを切って粘り込み勝ち馬と首差の惜しい内容。これでデビューから4戦③②①②着。コントレイル産駒らしい堅実な走りで、同産駒は③着内率・606。馬券に絡む確率が非常に高いので人気薄でも相手候補としては常に頭に入れておきたい。

亀井辰之介

 競馬好きの父親の影響もあり、子供のころから競馬中継を一緒に観戦。最初は父親が馬券を当てるともらえる臨時の小遣いが目当てだったが(ただし、父は穴党だったため、あまり的中した記憶はない……)、ある日、シンボリルドルフといういかにも強そうな名前の馬が、強く勝つ姿に魅入られたのが競馬ファンになったはじまり。
 その後はテレビゲームの競馬ソフトにどっぷりハマり、今までに遊んできた競馬ゲームは数知れず。その時に競走馬の配合の奥深さを知り、血統に興味を持ったのが今の予想スタイルの根幹か。現在でもたまにゲームをたしなみ、好きだった競走馬の産駒を活躍させることが小さな喜び。
 予想スタイルはもちろん“血統”。各馬の血統を分析。得手、不得手を見極め得意条件に出走する時に狙い撃ち! 好配当を目指します。

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