データ室・武田記者のラップと馬場差を徹底分析する

斬新だったピューロマジックの進路取り

公開日:2025年8月5日 14:00 更新日:2025年8月8日 10:59

 アイビスサマーダッシュ(写真)を制したピューロマジックの勝ち時計は53秒7で、02年にカルストンライトオがマークしたレコードと同じ。アイビスSDが53秒台の決着だったのは18年ダイメイプリンセスの53秒8以来、実に7年ぶりである。

 これだけでもなかなかだが、さらに凄いのは上がり3F31秒3だ。JRAのレースで過去に上がり31秒4は2頭。ともに22年の新潟で、韋駄天S=ルッジェーロ、2歳新馬=リバティアイランドである。ただし、ルッジェーロは最後方から差を詰めての⑤着だった。つまり、ピューロマジックはレコードは樹立できなかったものの、上がり史上最速を記録した馬ということになる。

 それにしてもルメールの騎乗もうまかった、馬の後ろで折り合わせたいとの思いか、当初はニシノトキメキの後ろにつけて、そちらに脚がないとみたのか、途中から外へ持ち出してきたカフジテトラゴンにその役目を切り替え。そして、カフジの内に持ち出し、馬場の中ほどから差し切り。いつも外ラチ沿いの攻防が多いだけに、この乗り方は斬新だった。

 昨年はテンの速さに定評があった馬が、1年で大きくリニューアル。当然、楽しみは増す。史上最速の末脚を武器にスプリンターズSへ行くのだろうか。コーナーのある競馬(その前のアルクオーツスプリントも直線コース)で、どれだけの脚が使えるのだろうか。

 首差②着テイエムスパーダは自分の競馬に徹した。1キロ差の斤量と相手の切れ味に負けただけ。

 ③着ウイングレイテストは昨年②着。その昨年は55秒4という重賞としてはかなり遅い時計で、今年は53秒9だから優秀だ。

 一方、昨年の勝ち馬モズメイメイは54秒0で⑥着。時計は大きく詰めているだけに、一言で言えば速さ負けか。

 前記したリバティアイランドの上がり31秒4は22年、千六の新馬戦。勝ち時計は1分35秒8だった。新潟の千六、千八はどうしても前半のペースが緩みがち。このレースは5F通過が63秒8だ。

 では、これまで夏の新馬戦で勝ち時計の最速はというと、21年にソネットフレーズがマークした1分34秒3である。

 今年の2歳で話題の一頭であるアーモンドアイの2番仔、プロメサアルムンドは1分34秒9、合格点の水準には達しているか。

 最後にこの時季の3歳未勝利戦は通常、ほぼ取り上げない(弱メンによる争いでいい記録はまず出ない)が、土曜11Rの芝千六は1分32秒7の好時計が出た。

 勝ち上がったのはアンダーザライト。②②②③着からの勝利で順当とはいえ、千二、千四での惜敗から2馬身差の好時計Vは新潟マイルが良かったのか。次も注目すべきである。

武田昌已

月~金は麻雀、土日はウインズだった学生生活を経て、入社後は編集一筋25年超。2015年春は何と9週連続重賞的中の快記録も達成し、2016年は春東京でGⅠ4連勝も。馬場の傾向、ラップの分析に定評がある。毎週、目黒貴子さんとその週の重賞解説の動画も公開中。

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