亀井記者の血統ロックオン

ゴルシ産駒が初出走で宝塚記念親子制覇を達成。洋芝函館ではスピード型のミスプロ系が躍動

公開日:2025年6月17日 07:00 更新日:2025年6月17日 07:00

 上半期最後のGⅠ宝塚記念はメイショウタバルが逃げ切り。父ゴールドシップ(13、14年連覇)との親子同一GⅠ制覇を達成した。

 実はゴールドシップ産駒が宝塚記念の出走するのは今回が初めて。ちなみにゴルシ産駒の阪神二千二百でのこれまでのGⅠ成績はというと、ウインマイティー=20、22年エリザベス女王杯⑭着、⑯着、ウインキートス=21、22年エリザベス女王杯⑩、⑮着と散々たるもの。それがいきなり激走する馬が出るのもゴルシらしさか。前後半の3F34秒8=36秒0、5F59秒1=59秒8の持続力勝負に持ち込んだ鞍上の絶妙なペース判断が、父譲りのスタミナを存分に引き出した。

 ②着はベラジオオペラ。昨年③着に続き今年もあと一歩足りなかった。その要因と考えられるのは距離か。父ロードカナロアで、母エアルーティーンは千八の勝ち馬。祖母エアマグダラも勝ち鞍は二千まで。今回も好位から勝負どころで動き出すも最後が逆に差を広げられている。これで二千二百以上では<0212>。大崩れはないものの、能力をフルに発揮できるのは二千までなのだろう。

 ③着はジャスティンパレスでメンバー最速の上がり3F35秒1とラストは一頭目立つ脚を使った。ディープインパクト産駒でもともと重馬場を苦手とするタイプだが、その馬がこれだけ走ったのだから芝の状態がかなり回復してきていたということだろう。実際、直前の10Rでもセブンマジシャンが上がり33秒9で②着している。記者としてはもう少し重い馬場でのレースを想像していただけに、そこは完全に読み間違えてしまった。

 結果的に①着メイショウタバルが母の父フレンチデピュティ、②着ベラジオオペラがロードカナロア産駒、③着がディープ産駒のジャスティンパレス。④着がキズナ産駒でストームキャットのクロス持ちのショウナンラプンタと、スピード型の血を持っている馬が上位に入線。来年も同じ日程(2週目)に宝塚記念が行われるなら、レース当日も雨で重馬場にでもならない限りは、米国スピードタイプ内包型>欧州パワータイプ内包型でいいのかもしれない。

 宝塚記念と同じく予想外だったのが函館の芝だ。土曜の函館スプリントSは1分6秒6のレコードでカピリナがV。

 本当に函館芝は時計が速く、函館SS以外にも芝では土日の新馬戦がレコード決着。特に土曜の新馬戦を勝ったカイショーは2歳レコードを0秒8更新。それどころか古馬のレコードをも0秒6も上回ったのだから驚異的。正直、力のいる函館の洋芝はどこにいったのかの感想。

 血統的にも函館スプリントSは①着カピリナ=ダンカーク産駒、②着ジューンブレア=アメリカンファラオ産駒。土曜5R②着ファニーバニー=シスキン産駒、日曜5R①着ルージュサウダージ=フィレンツェファイア、②着アニマレイ=ニューイヤーズデイ産駒と連対馬6頭のうち5頭が父ミスプロ系というのもスピード馬場の証明か。

 洋芝らしさを探せばジューンブレアは母の父ガリレオ、ファニーバニー=ハービンジャー。ルージュサウダージは3代母ファビラスラフインがフランス生産馬でと母系に求めるくらいか。開催が進み馬場が荒れてくればもう少し洋芝らしいパワータイプの出番もあるのかもしれないが、当面は洋芝=パワー型のイメージにとらわれすぎないほうがよいのかもしれない。

 新馬の話が出たので、最後に先週の新馬戦も少し振り返る。

 先週は2頭の新種牡馬の産駒が勝ち上がり。まずは日曜函館5Rを勝ったフィレンツェファイア産駒のルージュサウダージ。前述のように父フィレンツェファイアはミスプロ系。そのなかでもスペイツタウンの系統で米国で短距離重賞9勝。同馬もレコード勝ちだから父からいいスピードを受け継いでいる。ただ、父はバリバリの米国血統で本質的にはダート向きの印象。今回は芝で勝ち上がったが、最終的にはダート寄りの産駒が多くなると予想している。

 もう1頭は日曜東京5Rを勝ったリアライズシリウス。父はポエティックフレアだ。これで同産駒は4頭が出走して1勝②着1回、③着1回。今回の勝利では②着に7馬身差の圧勝だ。種牡馬としてのポテンシャルは高そうなだけに、受胎率の低さが残念でならない。

 最後に先週の新馬戦目立ったのがノーザンファーム生産馬。肌馬の質が高く、もともと2歳では強いのだが、先週は10頭が出走して〈4321〉とほとんどが馬券絡みしている。特にキズナ産駒はドリームコア、マイオウンウェイが2戦2勝。1週目に出走したアウダーシアも②着で、出走馬はすべて連対。昨年もマジックサンズ、ブラウンラチェットなど重賞ウイナーを送り出したノーザンF産のキズナ産駒。今年も2歳戦の中心となってきそうだ。

亀井辰之介

 競馬好きの父親の影響もあり、子供のころから競馬中継を一緒に観戦。最初は父親が馬券を当てるともらえる臨時の小遣いが目当てだったが(ただし、父は穴党だったため、あまり的中した記憶はない……)、ある日、シンボリルドルフといういかにも強そうな名前の馬が、強く勝つ姿に魅入られたのが競馬ファンになったはじまり。
 その後はテレビゲームの競馬ソフトにどっぷりハマり、今までに遊んできた競馬ゲームは数知れず。その時に競走馬の配合の奥深さを知り、血統に興味を持ったのが今の予想スタイルの根幹か。現在でもたまにゲームをたしなみ、好きだった競走馬の産駒を活躍させることが小さな喜び。
 予想スタイルはもちろん“血統”。各馬の血統を分析。得手、不得手を見極め得意条件に出走する時に狙い撃ち! 好配当を目指します。

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