【宝塚記念】メイショウタバル名手の絶妙ラップで逃げ切り戴冠
公開日:2025年6月16日 14:00 更新日:2025年6月20日 10:52
陣営の試行錯誤も実を結んだ
春GⅠシリーズは名手が締めた。百戦錬磨の武豊がメイショウタバルを堂々の宝塚記念ウイナーへと導いた。
逃げての3馬身差。1番人気のベラジオオペラのマンマークを受ける競馬となったが、直線で振り切った。快勝となった最大の勝因は、武豊の持つ精密機械のような体内時計だろう。戦前の予想通りに馬の行く気に任せてハナへ。前半3F34秒8で1角を回っている。
「基本的には先手を取りたいと。速くはしたくなかったですし、あまりスローも望んでいなかった。ちょうどいい入り」
名手はこう振り返る。ここまでは普通のラップだが、凄かったのはその先。コンビ2戦目で早めに人馬の呼吸が合ったことで、絶妙なペース配分でメイショウを走らせている。
前半5Fは59秒1だが、4F目からは12秒1―12秒2―12秒2と均一ラップを刻んだ。さらに、3角手前の残り1000メートルからは絶妙にペースを上げて、11秒9―11秒9―11秒8で流している。
緩みのない、やや速めの流れは後続勢に“まくらせず、ついていけば脚を使わせる”逃げとなった。実際に、マンマークで早めに並んだベラジオが直線入り口で外にふくれたから、ここで勝負あり。56歳のスーパーラップが後続を完封した。
②着を1秒千切った昨年春の毎日杯から1年3カ月。メイショウ陣営の工夫も実を結んだ。
皐月賞は⑰着で日本ダービーは左後肢挫跖で出走取り消し。前哨戦の神戸新聞杯を勝ちながらも、折り合いを欠いて⑯着に沈んだ菊花賞。辛酸をなめたクラシックシーズンから、調教、馬具を替え、今回は白シャドーロール姿。試行錯誤を繰り返して手にしたGⅠタイトルともなった。
グランプリウイナーとなれば、秋は天皇賞、ジャパンCか。年末には有馬記念もある。別舞台でも再度、逃げ切りを見せられたら、父ゴールドシップに続いて名実ともに“強い個性派ランナー”となる。