亀井記者の血統ロックオン

東京マイルGⅠで覚えておきたいデピュティの血。新馬勝ちファムマルキーズは次戦も勝てばイクイノックス、クロワデュノール級!?

公開日:2025年6月10日 07:00 更新日:2025年6月10日 07:00

 安田記念はジャンタルマンタルが勝利。これで2、3、4歳と3年連続でのマイルGⅠ勝ちとなった。

 ジャンタルの父パレスマリスは米国でGⅠ2勝。3冠レースのベルモントSと古馬になりメトロポリタンHを制している。パレスマリスの半弟にはステイヤーズS勝ちのアイアンバローズや、一昨年の天皇賞・春勝ち馬で今週の宝塚記念に出走予定のジャスティンパレスがいる。

 父の父はカーリンとミスプロ系だが成長力のある血筋で、それが産駒にも伝わっているのだろう。ジャンタルは持ち込みだが、父は24年に日本に輸入されており27年に日本産の産駒がデビューする。初年度となる昨年の種付け頭数は262頭で同年の最多。ジャンタルマンタルの活躍もあり今後はさらに人気を集めそう。注目の種牡馬と言っていい。

 ②着は9番人気のガイアフォース。安田記念は前2年も僅差の④着だったが、近走の内容が悪かったためか人気の盲点となっていた。ただ、母の父がクロフネとデピュティミニスター系。自身の土曜発行紙面のコラムや、NHKマイルC時のこの回顧コラムでも触れたのように、同系は非常に東京マイルでの成績がいいのだ。ちなみに勝ったジャンタルマンタルも父パレスマリスがデピュティミニスター内包馬だ。今年は全て終了したが、〝東京マイルGⅠのデピュミニ系(特にNHKマイルC)〟は忘れずにおきたい。

 1番人気のソウルラッシュは③着。スタートで行き脚がつかず後方からになったのは千八のレースが2度続いていたからか。配合的にも父がルーラーシップで母の半兄ヒラボクディープは二千六百㍍の勝ち馬とスタミナ色も強く、年齢ともにややズブさが出てきているのかもしれない。それでも良馬場で先行有利だったことを考えればよく差を詰めてきている。

 重賞はこの1鞍だけだったが、先週から新馬戦がスタート。血統回顧を名乗っているからにはここに触れないわけにはいかないだろう。

 先週の新馬戦に出走した馬のなかでも最も注目されていたのは日曜東京5Rのダノンヒストリー。

 半兄ダノンベルーガ、半姉ボンドガールとGⅠ好走馬を兄姉に持つ良血馬。昨年のセレクトセールで3億9000万円の高値がついたほどだ。レースでも1・2倍の圧倒的な人気にこたえて②着に2馬身半差の快勝だ。

 ちなみに昨年、同じ新馬戦を勝ったのが今年のダービー馬のクロワデュノール。クロワの勝ち時計が1分46秒7でダノンが1分46秒8だから、時計的にもほぼそん色はなし。ダノンは父がエピファネイアでクラシックでも好成績を残しているから、早くも来年が楽しみになる勝利となった。

 阪神で行われた2戦はともに1番人気馬が勝利。土曜に千六芝を勝ったのはモーリス産駒のチュウワカーネギー。母デックドアウトは16年の米GⅠアメリカンオークス勝ち馬だ。父、祖母の父ともにロベルト系の配合。持続力勝負型かと思っていだけに、先手を取ってラスト3Fは33秒2と速い上がりで押し切ったのは想定外。成長力がありそうな配合だけにこちらも先々が楽しみになる内容だった。

 日曜の千四芝はファムマルキーズが中団追走から直線で抜け出し。父はキタサンブラックだ。キタサン産駒と言えば晩成でスタミナ型のイメージだが、意外と新馬戦で勝ち上がり率が高いのが特徴。ただし、新馬勝ちのあと連勝した馬は8頭しかいないのだが、そのうちイクイノックス、ラヴェル、ソールオリエンス、クリスマスパレード、サトノカルナバル、クロワデュノールの6頭は重賞ウイナーになっている。キタサン産駒でデビュー2連勝なら大物になる可能性は大。ファムマルキーズも次戦の結果が重要となってくる。

 残る2戦を勝ったのはスワーヴリチャード産駒のディバインウインド(東京千六芝)とモーリス産駒のパープルガーネット(東京千四芝)。モーリス産駒は2歳種牡馬リーディングで一昨年4位、昨年3位と好調だったが、今年も2勝にゾロアストロの②着と上々の滑り出しを見せている

 勝利こそなかったものの、気になったのが新種牡馬のポエティックフレアだ。自身は英2000ギニーやセントジェームズパレスSなど制した欧州のマイラー。そのGⅠ2勝を好時計で勝ち上がったスピード型だった。とはいえ、日本の芝ではズブさを見せることが多いガリレオの血筋だけに、実際走って見るまでは半信半疑だったのだが、ホワイトフレイムスが芝のマイル戦で好位追走から③着。ルーチェフィオーレは芝の千四でメンバー最速の上がり34秒1で②着と好走。これなら日本の馬場に十分対応できそうなイメージだ。

 ポエティックフレアは初年度から108頭と上々の種付け頭数を集めたようにもともと期待は高かったのだが、血統登録頭数は37頭のみ。2年目も66頭に種付けして血統登録数は19頭とあまりに受胎率が低いためシンジケートは解散されている。ただ、産駒の走りを見ても素質はいいものを持っていそう。数少ない産駒からこの血をつなぐような馬が出てくることを期待したい。

亀井辰之介

 競馬好きの父親の影響もあり、子供のころから競馬中継を一緒に観戦。最初は父親が馬券を当てるともらえる臨時の小遣いが目当てだったが(ただし、父は穴党だったため、あまり的中した記憶はない……)、ある日、シンボリルドルフといういかにも強そうな名前の馬が、強く勝つ姿に魅入られたのが競馬ファンになったはじまり。
 その後はテレビゲームの競馬ソフトにどっぷりハマり、今までに遊んできた競馬ゲームは数知れず。その時に競走馬の配合の奥深さを知り、血統に興味を持ったのが今の予想スタイルの根幹か。現在でもたまにゲームをたしなみ、好きだった競走馬の産駒を活躍させることが小さな喜び。
 予想スタイルはもちろん“血統”。各馬の血統を分析。得手、不得手を見極め得意条件に出走する時に狙い撃ち! 好配当を目指します。

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