亀井記者の血統ロックオン

雨馬場が勝負の分かれ目!? スプリングS上位3頭の父に共通していたのは

公開日:2025年3月18日 07:00 更新日:2025年3月18日 07:00

 先週はせっかく暖かくなってきたかと思っていたら、週末は雨もあり寒さがぶり返し。日曜の重賞も雨馬場が結果を左右した印象だった。

 特に馬場の悪化が目立ったのが日曜中山。1Rからダートは不良、芝が重でのスタート。芝は見た目にもタフな状態で、スプリングSも前後半の3Fが37秒5=38秒1だから、かなり上がりがかかるコンディションだ。

 勝ったピコチャンブラックは父キタサンブラックが不良の天皇賞・秋を勝ったこともあるように、産駒も道悪不問のタイプが多い。加えて、母の父が芝、砂兼用のネオユニヴァースで、祖母の父がサドラーズウェルズだからタフな馬場も苦にしない配合だ。実際、レースでも勝負どころでスッとポジションを上げたから、こういった馬場は得意なのだろう。

 これで祖父ブラックタイド→父キタサンブラックに続いて父子3代で同一重賞を制覇を達成。母系も母トランプクイーンの全兄アンライバルドがスプリングS、皐月賞と中山で重賞2勝。半兄ボーンキングは京成杯馬。半姉グレースアドマイヤは母としてヴィクトリー、リンカーンと2頭の中山重賞ウイナーを出しているように、中山の中距離戦がベストの血だ。

 ただ、この馬も先週の弥生賞ディープインパクト記念を制したファウストラーゼンと同様、本番で速い上がりが求めらるた時への対応力がカギとなる。

 ②着フクノブルーレイクは昨年の新種牡馬ウインブライトの産駒。父は中山で5勝と中山の鬼だったが、産駒も切れより、しぶとさで勝負するタイプが多く、今後も中山向きの馬が多くなってきそうなイメージ。

 祖母はオークス馬のエリモエクセルだが一族はフィニステール、ダノンエクスプレスなど意外とダートも多い。そこにステイ系の父だから時計のかかる馬場が良かったということだろう。

 ③着キングスコールはドゥラメンテ×フランケルでパワー馬場OKのタイプ。ただ、今回は出遅れが痛かった。道中はまくり気味に上がって脚を使いながらラストもしぶとく粘り込み。パワー馬場OKとしたものの、新馬戦をレコード勝ちしたようにスピード豊富な馬なので、本質的には良馬場の方がいいタイプ。父系、母系ともにグレイソヴリンの血を持つ配合からも東京での走りを見てみたい一頭でもある。

 実はこの3頭の父は全て中山千八の重賞勝ち馬(キタサンブラック=スプリングS、ウインブライト=スプリングS、中山記念、ドゥラメンテ=中山記念)。もともと非根幹距離のレースで父の舞台適性が出やすいレースではあるのだが、今年は馬場が悪化したため、より適性の差がに出た印象。来年以降も同舞台の重賞勝ちの父を持つ馬は要チェックだろう。

 そんな日曜中山で異色だったのが東風Sを差し切ったサイルーン。ディープインパクト産駒で上がり33秒台も繰り出す瞬発力型だから、馬場が向かないと思っていたが②着に2馬身差の完勝。良ならもっと切れてもいいだけに、今後の活躍が楽しみな勝ちっぷりだった。

 中京は今週が開幕週。土曜発行のコラムでも書いたように金鯱賞は例年、前有利の傾向。今年は重馬場でより差し馬には厳しいレースとなったか。実際、道中3番手のクイーンズウォーク、2番手のホウオウビスケッツでのワン・ツー。千㍍通過58秒2と掛かり気味に逃げたデシエルトも④着と粘っている。

 3連覇がかかったプログノーシスは⑥着。スタートで遅れて後方から。ディープインパクト産駒でも札幌や香港の稍重でも勝っているように、多少の重い馬場ならこなせるタイプだが、さすがにこの馬場でこの流れは厳しすぎた。前走、今回とスタートが悪く、テン乗りで乗り難しい面が出ており、馬場も含めて今回は参考外。2戦連続の大敗でも大きく評価を落とす必要はないと思う。

 勝ったクイーンズウォークは牝馬でも500㌔超の大型馬。ストームキャット、ミスプロ、デピュティミニスター、ボールドルーラーと米国型がズラリと並ぶ配合でパワー馬場を苦にしなかった。牝馬の金鯱賞勝ちはサマニベッピン以来、30年ぶり。今年の中距離路線の中心的な存在となってきそうだが、半兄グレナディアガーズは朝日杯FS、阪神C勝ちとマイル路線で活躍。個人的にはもう少し距離が短いところでの走りも見てみたいと思っているが。

 ②着ホウオビスケッツは父がマインドユアビスケッツで米国型ダート寄りのパワータイプ。ホウオウも昨夏の函館記念を2番手から抜け出したように、力のいる馬場はマッチする。当時と同じ離れた2番手から抜け出す勝ちパターンだったが、今回は勝ち馬が一枚上手だったということ。

 父マインドユアビスケッツは米国型だが古馬になり力をつけてきた晩成タイプ。母の父もルーラ―シップとこちらも成長力のある配合だけに、5歳の今年はもうひと伸びがあってもいい。

 ③着キングスパレスは全姉リバティハイツが重馬場のオパールS勝ち。ディープインパクト産駒の半兄ランドオブリバティも不良の新馬戦を勝ち上がっている。重い馬場への適性が高い母系で、自身もここまで芝の稍重以上で②①⑧②②②②着の雨馬場巧者。馬場が悪化した時は常にマークしておきたい馬だ。

亀井辰之介

 競馬好きの父親の影響もあり、子供のころから競馬中継を一緒に観戦。最初は父親が馬券を当てるともらえる臨時の小遣いが目当てだったが(ただし、父は穴党だったため、あまり的中した記憶はない……)、ある日、シンボリルドルフといういかにも強そうな名前の馬が、強く勝つ姿に魅入られたのが競馬ファンになったはじまり。
 その後はテレビゲームの競馬ソフトにどっぷりハマり、今までに遊んできた競馬ゲームは数知れず。その時に競走馬の配合の奥深さを知り、血統に興味を持ったのが今の予想スタイルの根幹か。現在でもたまにゲームをたしなみ、好きだった競走馬の産駒を活躍させることが小さな喜び。
 予想スタイルはもちろん“血統”。各馬の血統を分析。得手、不得手を見極め得意条件に出走する時に狙い撃ち! 好配当を目指します。

著者詳細、記事一覧へ

最新記事一覧

  • アクセスランキング
  • 週間