【サウジカップデー】AIアプリの歩様解析でハッピーマンがサウジ渡航を断念

公開日:2025年2月12日 14:00 更新日:2025年2月12日 14:00

速歩を動画撮影し、AIアプリで左右対称かをチェック

 2月22日、サウジアラビアのキングアブドゥルアジーズ競馬場はサウジカップデーとして賑わう。

 レッドシーターフハンデキャップ(GⅡ・芝3000㍍)、ネオムターフカップ(GⅡ・芝2100㍍)、1351ターフスプリント(GⅡ・芝1351㍍)、リヤドダートスプリント(GⅡ・ダ1200㍍)、サウジダービー(GⅢ、ダ1600㍍)があり、日本で馬券発売が決定したGⅠサウジC(ダ1800㍍)が行われる。

 サウジCのウィルソンテソーロ、ウシュバテソーロ、フォーエバーヤング、ラムジェットに代表されるように今年も続々と日本馬がチャレンジする。

 そんな中、国内の検疫期間中に渡航を断念せざるを得なかった馬が出た。サウジダービーを目指していた昨年の兵庫ジュニアGPの勝ち馬で全日本2歳優駿の②着馬ハッピーマンだ。名手R・ムーアとの初コンビで期待の海外遠征となるはずだったが急転。検疫中の歩様チェックに引っ掛かったのだ。

 実際に、海外レースの出走診断は厳しいことでも知られる。昨秋、ブリーダーズCディスタフでは、きのうの船橋・クイーン賞を雪辱戦としたオーサムリザルトが歩様検査で出走のゴーサインが出ず、出走取消の憂き目に。

 その1年前には、ドバイターフを目指したドウデュースだ。同じく歩様チェックの末のウィズドローとなっている。

 今回のケースは、渡航前の栗東トレセンでの検疫期間中。珍しいケースとなった。

 もちろん、JRAではなく、主催者(サウジアラビアジョッキークラブ)側の獣医師チェックによるもの。馬の速歩を前方、後方から撮影した動画を専用のAIアプリが解析。左右対称かが判断され、その左右差が数値化する。数値を踏まえて主催者側の獣医が決断を出すという。ハッピーマンは後肢に差があると結論が出た。未然に輸送の負担や競馬でのアクシデントを防ぐためだが、これが獣医師立会いのもとではない。動画を主催者側に送信した後の判断となる。立ち合いでの診断が前提のJRAでの出走診断とも大きく異なる。陣営が困惑するのは当然だろう。

 管理する寺島調教師はこう話す。

「前肢でなくて後肢ですからね。運動、調教と乗った感じでも違和感があるわけではないので戸惑いました。実際に、調教も普通にこなせています。それも伝えましたが、渡航しても同じ判断となる可能性が高いとのことだったので断念しました」

 実際に、けさ(12日)は、検疫時間の午前5時半頃、Cウッドで6F84秒0―37秒5、1F11秒5をマーク。カクテルライトが照らす馬場を鋭く伸びていた。

 結果、国内にとどまらざるを得ず、ハッピーマンは来週の東京・ヒヤシンスS(千六百㍍ダ)に出走する。日本馬の海外遠征は年々、増えているが、同時に今回の例からも残念なニュースも多くなるのかもしれない。

最新記事一覧

  • アクセスランキング
  • 週間