【プロキオンS】ツメの不安解消! ハピが七夕の日に777日ぶりの勝利、初重賞Vを狙う

公開日:2024年7月3日 14:00 更新日:2024年7月3日 14:00

蹄は「第二の心臓」と呼ばれる重要部

 サラブレッドにとり、大切なもののひとつに蹄がある。蹄鉄を打つ、あの部分だ。

 馬の蹄は人間で言うこととの第3指(中指)のツメの部分にあたり、これは速く走るための進化と考えられている。陸上の短距離ランナーが踵を着けずに走るシーンを思い浮かべると、なるほどとなるかもしれない。

 蹄は人間と同じ角質(タンパク質)でできており、やはりデリケート。プロ野球投手が常日頃、形を整えたり、割れないようにマニュキュアを塗ったりする事と同じだ。特に、サラブレッドはあの馬体重、スピードによる負荷を支え、同時に保護する蹄鉄も打たなければならない。

 また、蹄は「第二の心臓」とも呼ばれている。逆U字型の蹄が脚の着地で拡大、伸縮を繰り返す蹄機作用により、蹄内の血液を心臓まで戻す、ポンプのような役割も果たすからケアが重要となってくる。

 裂蹄、蟻洞、挫跖に蹄葉炎。競馬ファンならよく聞く蹄病だが、脚先に違和感があれば、それはバランスの崩れ、歩様の乱れとなって表れ、当然、全力で走り切れないことにもつながる。

 プロキオンSのハピも「慢性的なツメの不安を抱えてきた」(大久保師)一頭だ。

「痛いところがない。気にせず調整できた」(大久保調教師)

 デビュー年の22年1月の新馬勝ちから、1勝クラス、鳳雛Sと3連勝。完全に重賞Vを目前としながらも、以降の13戦で勝ち星は上がらなかった。

 常に弱さを伴う蹄と相談しての調整でもあったからだ。症状が顕著に出た例が昨秋だった。みやこSの目指して調整を重ねたが、ツメから歩様の乱れにつながり、断念した経緯もある。

 5歳の夏となり、軌道に乗ってきた。前走の平安Sでは4角7番手から外に出すと鋭伸。勝ち馬ミトノオーに首差まで迫っている。上がり36秒4はメンバー最速の脚だった。当時は天皇賞・春での競走中止明け──。

「丈夫でないツメは、今回、痛いところがない。気にせずに調整でき、調教を課しても順調にこれました。1週前に菱田君が乗り、いい感触を掴んでくれ、今週に乗った小崎君も〝いいですね〟と話していました」

 ひと頃、坂路中心だった追い切りがコース中心へと替わったことが順調な証拠。そして、1週前のCウッドでは2F22秒7─11秒1と自己最速のラストラップを刻んでいる。調教でも切れ味が出てきた。けさの追い切りは別掲のとおりで2週続けてよく動いた。

「今回は直線の短い、小回りコースでどう戦うか。菱田君も2回目ですし、踏んで行くタイミングさえ合えば、やれていいですよ」

 勝てば、ハピは前記の鳳雛Sから2年ぶりの勝利となり、奇しくも777日ぶりのVが初重賞となる。7月7日、七夕の日に行われる重賞にはピッタリな一頭かもしれない。

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