【宝塚記念】淀の外回りのポイントを同舞台重賞7勝の元ジョッキー・四位調教師に聞く そして、舞台が合うと話した2人の騎手とは──。

公開日:2024年6月19日 14:00 更新日:2024年6月19日 14:00

ハイセイコー、メジロライアンにディープインパクトが勝ち、今年は8回目の淀グランプリ

 今年の春グランプリは京都が舞台となる。

 過去の淀決戦は7回あった。シンザンが制した翌年の1966年が最初で勝ち馬はエイトクラウン。そして、69年ダテホーライ、74年のハイセイコーに76年フジノパーシアがいて、90年代以降はライアン→マックイーンの〝メジロ〟ワン・ツーで決まった91年に、95年はダンツシアトル→タイキブリザードのマル外決着だった。そして、ディープインパクトの06年だ。今回は実に18年ぶりとなる。

 距離は阪神と同じ二千二百メートルだが、内回りコースを使用する仁川と違い、京都は外回りコースで直線は約40メートルほど長い398・7メートル。

 この舞台で誰が一番勝っているかは言わずもがな。「京都は庭」と話す武豊だ。

 45勝を挙げ、2位の岩田康の18勝を引き離して断トツでトップ。01年のトゥザヴィクトリーからファインモーションにアドマイヤグルーヴの連覇に前記ディープのGⅠ5勝を含む重賞勝ちは15を数える。

 最も勝ち方を知る名手がドウデュースで挑むから他勢には高く、厚い壁となりそうだ。

「坂の下りを〝ニュートラルな状態〟で運べる人馬に強さが出る。言い訳が利かないコース」(四位調教師)

 淀二千二百㍍重賞でレジェンドに続く、7つの勝ち鞍を騎手時代に挙げているのが四位洋文師。

 96年の京阪杯、エリザベス女王杯をダンスパートナーで制し、京都記念はユウトウセイ、エモシオン、シルクフェイマス、アサクサキングスで勝っている。そこで、騎手目線でコースをレクチャーしてもらった。

「基本的に外回りだから乗りやすい。コースの癖はないかな」

 概要からこう続けた。

「従来の宝塚記念が行われる阪神内回りでは先行馬が有利。中団より後ろでは届かないし、展開の助けがないと厳しくなる。でも、京都の外回りならどんな競馬でもできる。そこを考え込まなくていい分では騎手とすれば楽かな」

 施行場が替われば、騎手心理はこんな変化があるとも話す。

「ただ、逆に京都の二千二百㍍の外回りは言い訳が利かないコースでもあるよね。馬場、展開を読んで、どう脚を使わせるかが鍵。ポイントはやっぱり、3角の坂。淀の坂はゆっくり上り、ゆっくり下るが定石だけど、上りで勢いをつけたままで下ると最後まで脚がもたない。坂の下りはいかに〝馬をニュートラルな状態〟で運べるか。それができる人馬に強さが出る。GⅠの舞台としては面白く、実力が問われるコースじゃないかな」

 こんな解説をいただいた。スタートしてから1角までの入り、位置取り。そして、向こう流しから坂の上り、下りで見られる多くの駆け引きが淀開催の楽しみとなってくる。

ジャスティンパレス「彼に長く脚を使わせたい。段々と加速することができる外回りはいいです」(ルメール騎手)

 ここを踏まえて、今年のグランプリ出走陣営で、従来の阪神内回りよりも京都外回りが合うと話すジョッキーは2人いた。

 まずは、ジャスティンパレスのルメールだ。

 騎乗するのはご存知、昨年の天皇賞・春の勝ち馬。それ以来、約1年、5戦ぶりの手綱となる。レースに向けて、こんなイメージを話してくれた。

「できれば、彼に長く脚を使わせたいですね。ラスト500㍍あたりから加速し、ポジションを上げていきたい。天皇賞と同じようなレースをしたいですね。だから、段々と加速することができる外回りはいいです」

 昨年の宝塚記念は③着。外からイクイノックスにかわされたが、最後まで差を詰めての0秒2差でもあった。長く脚を使えるストロングポイントを生かす算段だ。

ディープボンド「凄くスムーズに加速できた。相性がいいんだと思う」(幸騎手)

 もう一頭は、7歳の古豪ディープボンドに乗る幸。

「勝負どころで反応が鈍いタイプ。下りはディープボンドに合っている感じですね。前走(天皇賞・春③着)の一戦しか乗っていませんが、凄くスムーズに加速できた。相性がいいんだと思います。今回の宝塚記念も京都で走れるので楽しみです」

 同馬は阪神大賞典連覇の印象が強いが、初重賞は今回と同じ舞台の京都新聞杯だった。以降、淀の外回りでは菊花賞で④着し、それ以来となった昨春の天皇賞でも②着と連対した。ひとつ年を重ねた今年も0秒4差の③着と馬券に絡んでいる。特徴は坂の下りを生かした早めの進出の得意パターンに持ち込めるのだ。

 奇しくも、18年前のディープの②着は京都大賞典、京都記念を制した京都4勝の巧者ナリタセンチュリー。10番人気での連対だった。やはり、淀の舞台に合う馬を見極めることが馬券の肝となりそうだ。

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