【日本ダービー】サンライズジパングで挑む音無師はラストダービー 好調教、穴メーカーの「気楽な立場で楽しむ」が逆に怖い!?

公開日:2024年5月22日 14:00 更新日:2024年5月22日 14:00

騎手、調教師と半世紀を超して競馬に携わる

 ホースマン憧れの舞台。それが日曜に東京競馬場で行われる日本ダービーだ。

 今年も3歳世代7906頭の頂点を決める18頭の精鋭が揃った。

 別掲原稿で美浦・国枝師のチャンスはあと2回あるが、サンライズジパングを送り込む栗東・音無秀孝師は、来年2月末を定年70歳で迎えるために今年がラストダービーとなる。

 同師は、1973年4月に騎手見習として競馬サークルに入り、79年に騎手としてデビュー。14年間のジョッキー生活を経て、調教助手から調教師へと転身した。95年の厩舎開業から今年で30年目。都合、半世紀を超して競馬に携わってきた。

 オレハマッテルゼ、ヴィクトリー、サンラズバッカスにオウケンブルースリ。カンパニーやミッキーアイル、ミッキーロケット、クリソベリル、インディチャンプ、モズスーパーフレアにピクシーナイトでのGⅠ14勝を含む、重賞87勝。JRA通算は977勝を数える名調教師のひとりだ。

「最初は苦労したんだよ。開業年はわずか1勝だったから。領家(政蔵)先生あたりからは『(調教師として)やっていけるのか』なんて言われたりもしてね。色んな縁に恵まれ、ここまで長く続けられて、977つも勝つこともできた。うれしいことだよね」

 自身の〝厳寒期〟を懐かしみつつ、こう振り返る。ラストダービーはどんな気持ちで迎えるのだろうか。

 サンライズジパングは2歳GⅠのホープフルS③着馬だ。3歳シーズンの初戦となった若駒Sで外一気を決めたが、目標としていた弥生賞ディープインパクト記念は右後肢の違和感で回避。そこから挑んだ春1冠目の皐月賞は⑨着だった。

「前走は一頓挫明け。3日ほど馬房からも出せなかった。それを埋める調教を積んできたけど、レース当該週までびっしりと併せた(坂路4F51秒6)ことでオーバーワーク気味だったかな。レースも最内枠で外に出せずに終始、馬場の悪いところを走らされた。うまくいかなかった」

 反省が口をついた。〝2冠目は?〟の質問には「今回はいいですよ。1週前にCウッドでしっかりと追ってあるので、最終追い切りは調整程度。それでも楽にこの時計が出たからね。軽さもあった。上積みは十分あるでしょう」

 実際に、別掲の追い切り速報にもあるが、けさの坂路では軽いフットワークが目を引いた。4F52秒4、2F24秒2─12秒0を馬なりでマークしたから、急上昇は明らかだ。

オークスVは単勝6270円! 騎手、調教師としても穴メーカー

 調教師として日本ダービーに7頭を出走させ、最高着順は17年アドミラブルの③着。そして、騎手としてのダービー騎乗は1984年の一度のみ。師匠・田中良平師の管理するイブキラーゼンは21頭立ての10番人気。⑳着は今から40年も前の話だ。

「不思議とまったく緊張しなかったね。ダービーはお祭り。今年も人気がなく気楽な立場だから楽しみますよ」

 初心忘るべからず──。

 ただし、騎手時代は同じ府中1マイル半のオークスでは、21番人気のノアノハコブネ(1985年)で初GⅠ勝ちを挙げ、翌年のユウミロクは9番人気で連対している。

 調教師となっても穴メーカーぶりは変わらなかった。

 07年皐月賞を勝ったヴィクトリーは7番人気で、2年後の天皇賞・秋では5番人気のカンパニーでウオッカを破って制した。18年宝塚記念Vのミッキーロケットは7番人気で、20年高松宮記念のモズスーパーフレアは9番人気で2位入線からの繰り上がり優勝でもあった。

〝持っている〟調教師が気楽に挑むラストダービーにはどこか一発の怖さがある。

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